『替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方』(国分峰樹著/フォレスト出版)
「専門性とは何か?」にアンテナが張っているため、書店で目に飛び込んできました。
この本は私にとっては大変学びの多い、意識を変えるものとなりました。
「専門性とは、専門知識のインプットではなく、専門知識のアウトプットである」(p.125)
専門知識を知っているだけでは意味がなく、そこから新しい知識を生み出せることが専門性となる。
では、どのように専門性を身につければいいのか?
専門性を身につけるには、「型」があり、そのヒントが「研究」であるとしています。
著者の国分さんはこう言います。
「今ある専門知識を『勉強する』ことではなく、今はない専門知識を『研究する』ことが、専門家になるための唯一の道です。」(p.147)
では、どの領域を専門とすればいいのか?
「自分らしい問いを立てる」ことが大事だといいます。
仕事のため、やらなければいけないこと、そういったものだと長続きしない。
自分の関心はどこなのか。
自分らしく問いを立てる。
「専門性の出発点となるのは、『仕事で必要だから』ではなく、『自分にしかできないことをやりたいから』です。」(p.179)
そして、そこから自分のオリジナリティを見つけていく。
狭い領域の自分独自の専門をつくっていく。
今まで自分が考えていた「専門性」という概念を本書は変えてくれました。
専門知識をインプットすることで専門性が身につくと思っていました。
それは違うのですね。
自分らしく疑問に思う分野を掘り下げていく(研究する)ことで、オリジナリティも出るし、そこが専門性につながっていく。
「自分らしく」というところに惹かれます。
既存の「〇〇学」といった大きな知識群を無理に選んでいく必要はない。
出発点は自分のちょっとした疑問からでいい。
そして、必要に応じて「〇〇学」や「△△学」を学んでいく。
気持ちがラクになるのと同時に、一生のうちにひとつでも良いので、何かを掘り下げていくというのも面白そうだと思いました。
本書を読んでいて気になった点もあります。
ビジネスパーソンとしては、専門性がないとこれからの時代は厳しいといった内容も書かれています。
それは理解できます。
ただ、「自分らしさ」から出発して専門性を身につけるためには膨大な時間と労力がかかります。
そのテーマが現在の仕事と全く関連性のないものになることもあります。
頑張ってあるテーマの専門性が身についたとしても、それが(ニッチすぎて)仕事にならないことも考えられますし、そのときには晩年になっているかもしれない。
本書で書かれていることは大事な内容だと思いますが、人を選ぶ気がします。
社会に出る前の学生、自分の関心のありかが現在の仕事に直結している人には、大変参考になる考え方だと思います。