『人口で語る世界史』(ポール・モーランド著/文春文庫)

人口が各国でどのように変化してきたのか知りたくて本書を手に取りました。
本書は「人口」という切り口で1800年代以降の世界史を述べています。
イングランドから人口増加が加速し、次第に他の国へ波及しました。
イングランド、ドイツ、ロシア、アメリカ、日本、中国、東アジア、中東、北アフリカ、サハラ以南のアフリカ、それぞれの人口動向を解説しています。
人口が増加する要因は3つあります:
- 子どもの死亡数の減少
- 出生数の増加
- 移民の増加
貧しい国ほど出生数が多く、乳児の死亡率も高めです。
国が豊かになるにつれ、乳児の死亡率が下がり、出生率も低下します(「人口転換」)。
次第に平均年齢も上がり高齢化社会へと移行する。
このパターンが各地域でそれぞれのペースで起きていることがわかります。
日本は高齢化社会に入っています。
高齢化では良い面と悪い面があります。
良い面としては、「世界はもっと平和で順法精神にのっとった場所になる。」(p.400)
年齢が若い国ほど紛争や暴力などが多い傾向があるようです。
一方、悪い面としては、「平均年齢が高い社会は、活力が失われ、革新的でリスクを恐れない行動を避ける傾向がある。」(p.400)
噛み締めたい内容です。
高齢化に伴い、年金や介護に対し財源などのプレッシャーが強くなります。
深刻なのは発展途上国です。
国が豊かになる前に高齢化に直面するからです。
タイが例に挙げられており、今世紀半ばには年齢中央値が50歳に達するが、それまでに「包括的な老人介護サービスをまかなえるレベルに発展する可能性は低い」(p.402)と指摘しています。
日本が高齢化社会の先頭を走っているので、培ったノウハウが各国で活用できるようになればいいですよね。
現在「人口転換」の初期段階にあるのが、サハラ以南のアフリカです。
出生率が高く、平均寿命も伸びており、死者数が減り、人口が増加しています。
著者は、今後40年でアフリカの人口増加が世界へ大きな影響を与えると予想しています。
アフリカがどう経済成長していくのか楽しみです。
人口動向を世界史という視点で学べました。
ことあるごとに読み返したい本です。
