物価が上がり、賃上げの社会的要請も強まってきました。
これに対応するためにも企業は価格転嫁をしていかなければいけません。
30年近く続いたデフレ。
消費者の値上げに対する反発も強く、企業は客離れを恐れ値上げがしづらい状態でした。
投資には消極的になり、コスト削減に力を入れてきた企業も多いと思います。
10年以上前に経営の勉強をしていた頃、「経営改善」というワードをよく目にしました。
「経営改善」に関する本も多く出ていました。
そのくらい経営の改善を課題とする企業が多かったのだと思います。
経営を改善するためには、まずは無駄なコスト削減を徹底的に行う。
どの本でも当たり前のように書かれていることです。
私自身、支援者の立場としてこの意識を強く持ちました。
「コスト削減」
実際に経営をする立場になったときには、ここを重視して運営しました。
できる範囲でかなりコスト削減はしたと思います。
それが正しかったか?
数年経って感じたことがあります。
コスト削減だけでは縮小が進むだけになってしまう、と。
無駄な部分を削減していくことは会社が筋肉質になっていくため良いことなのですが、業績が悪いときは大抵大幅にコスト削減をすることになります。
黒字化するためには相当切り詰めないといけません。
必要な部分まで削らなければいけないときもあります。
それが結果的には会社をさらに弱くすることに繋がることもある。
どこかで投資もしていかないと、会社は縮む一方です。
私が経営の立場に身を置いていた頃は、それがわかっていませんでした。
辞める前の数ヶ月間、商品開発に取り組みました。
その結果が出始めた頃に経営を退いたのですが、そこでやっとわかった気がします。
経営状況が厳しい中小企業を支援することが多いのですが、どうしても内向きになりがちで、投資や新しい取り組みにチャレンジする余裕が持てない企業は多いです。
結果的には、下降線を辿ることになってしまいます。
どこかで思い切って新しいことにチャレンジをしないといけない。
資金繰りが厳しい中で、どうやってチャレンジできるのか。
経営者には胆力が必要になりますね。
日本経済も転換期を迎えています。
良い形で転換して欲しい。
中小企業の経営者や経営支援者もマインドを修正していかないといけませんね。