0431 『戦争と平和 4』

『戦争と平和 4』(トルストイ著/光文社古典新訳文庫)

全6巻あるうちの4巻目です。

1812年からのナポレオンによるロシア侵攻から退却するまでが語られます。

冒頭でトルストイは、この戦争の原因に対しこう語ります。

「ナポレオンがモスクワまで行ったのは彼がそれを望んだからだし、彼が滅びたのはアレクサンドル一世がその破綻を望んだからだと言う人は、トンネルを掘られたために百万プードの山が崩れ落ちたのを見て、それは最後の坑夫がつるはしの最後のひと振りを加えたからだと説明する人と同じ程度に正しく、また間違っているのである。」(p.21)

そしてこう言います。

「彼らの一つ一つの行動は、本人は自分たち自身のための自由意志による行動と思っているが、歴史的な意味では自由なものではなく、歴史の歩み全体と結びついており、はるか以前から決定されているのである。」(p.22)

この部分がとても印象に残りました。

誰かを「偉人」として捉えるのではなくあくまで「プレイヤー」の一人であり、指導者一人で物事が決まるわけでもなく、そこに関わる多くの人たちの見えない意思に動かされる。

こういう捉え方が好きです。

冒頭からこれらの捉え方を提示した上で、様々な登場人物がこの戦争にどう関わっていくかのストーリーが展開されます。

巻末に訳者の望月哲男さんの「読者ガイド」があります。

「話題も登場人物も極めて多いせいで、出来事の全体像を捉えるのは必ずしも容易ではありません。」(p.562)

この一文に救われました(笑)

確かに話題や登場人物が多くて追っていくのが大変です。

1巻を読むのにかなり時間をかけているので、余計理解しづらくなっていました。

巻末に望月さんが出来事を整理して下さっているので、ストーリーの振り返りや、構成、トルストイの意図を理解するのに大変役立ちました。

さて、あと2巻。

今年中に終わるかな・・・。

35歳のときに40年以上続く会社を後継者として 事業承継を行い、6年間代表として経営に携わりました。代表を退任後は、中小企業の事業承継を支援しています。中小企業診断士/ビジネスコーチ
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