0430 『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』

『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』(吉田満梨・中村龍太著/ダイヤモンド社)

起業する際の手法で「エフェクチュエーション」というものがあります。

ヴァージニア大学ダーテンスクールのサラス・サラスバシー教授が研究からまとめた概念であり、『エフェクチュエーション 市場想像の実効理論』(碩学舎)という学術書があります。

本書は、このエフェクチュエーションをわかりやくした入門書となります。

エフェクチュエーションには5つの原則があります。

1. 手中の鳥の原則
「目的主導」ではなく、既存の「手段主導」で何か新しいものを作る

2. 許容可能な損失の原則
期待利益の最大化ではなく、損失(マイナス面)が許容可能かに基づいてコミットする

3. レモネードの原則
予期せぬ事態を避けるのではなく、むしろ偶然をテコとして活用する

4. クレイジーキルトの原則
コミットする意思を持つ全ての関与者と交渉し、パートナーシップを築く

5. 飛行機のパイロットの原則
コントロール可能な活動に集中し、予測ではなくコントロールによって望ましい成果を帰結させる

(p.30)

簡単にいうとこういうことです。

自分も持っているものを生かして事業をはじめ、自分が許容できるリスクの範囲内で進めていく。進む中で起きる良いことや悪いことも受け入れながら、方向性が変わっていくことも受け入れる。周りに協力者を得ながら、さらなる拡がりを楽しみ、自分がコントロールできるところに集中しながら進めていく。

熟練した起業家の多くはこのようなアプローチを取るといいます。

本書の中で、「コーゼーション」という考え方が出てきます。

目的思考で、計画をしっかり立て、その計画を実現するリソースを確保し、目的達成に向けて進めていく。

エフェクチュエーションはコーゼーションとは対極にある考え方です。

本書で一番印象に残った部分でした。

起業する際に「事業計画書」を作るケースがあります。

あれはまさしくコーゼーションのアプローチです。

ただ、起業する時点で考えたことがそのまま実現することはあまりなく、どこまで事業計画書が有効か個人的には疑問を感じています。

金融機関からお金を借りるためには必要にはなりますが、実際に計画通りにはいかないので、作って終わりで見返すこともない。

エフェクチュエーションの方が現実的ですし、事業を始めようと思っている人はこの考え方で進めていった方がいいと思います。

起業だけでなく、新しい取り組みを行う事業者でも、エフェクチュエーションの方がいいのではないかとも思います。

そう考えていくと、経営支援をしている立場としては、どうこの両者の考え方を取り入れながら支援活動をしていけばいいのか。

大変関心のあるテーマです。

もしかすると、私の経営支援に対する考え方が今後大きく変わっていくかもしれないと感じています。

エフェクチュエーションに関しては、サラス・サラスバシー教授の『エフェクチュエーション 市場想像の実効理論』(碩学舎)も読んでいこうと考えています。

35歳のときに40年以上続く会社を後継者として 事業承継を行い、6年間代表として経営に携わりました。代表を退任後は、中小企業の事業承継を支援しています。中小企業診断士/ビジネスコーチ
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