『第三次世界大戦はもう始まっている』(エマニュエル・トッド著/文春新書)

この本は、日々流れてくるニュースの見方と違った視点を提供してくれます。
ウクライナ戦争に関する報道では、ウクライナ「善」・ロシア「悪」の構図になっています。日本は西側に属するため、この西側のメディアの中でこの戦争を見ています。
情報は単純化して見ていくと受け止めやすいのですが、違う視点で見るということも大事であることに気付かされます。
著者のエマニュアル・トッドさんは、フランスの歴史人口学者・家族人類学者です。この専門性から現在のウクライナを取り巻く状況を捉えているところが興味深かったです。
家族構造は歴史が進むにつれて「核家族」から父権性が強い「共同体家族」へ進化していく。西洋社会は「核家族」型で、ロシア・中国等は「共同体家族」型。ウクライナは「核家族」型。
今起きているウクライナ戦争は、民主主義と専制主義の対立ではなく、この家族システムの対立であると。
家族構造という視点で国際情勢を見ていくと、また違った景色が見えてきます。
他にも興味深い視点が盛り込まれていますが、著者のこの言葉が印象に残りました。
「この戦争は、実は西洋社会が虚無の状態から抜け出すための戦争で、ヨーロッパ社会に存在意義を与えるために、この戦争が歪んだ形で使われてしまったのではないか」(p.189)
