こんにちは、3Cサポートの平山です。
「事業承継を考えていきたいが後継者がいなくて困っています」
こういった悩みを抱える中小企業の社長が増えています。どのように事業を残していくかも社長にとっては大きな課題のひとつです。
ここでは、後継者のいない中小企業が選択肢として持っておきたい「M&Aプラットフォームの活用」についてご紹介します。
目次
- 事業承継でM&Aを選択する中小企業が増加傾向
- 中小企業が活用できるM&Aプラットフォーム
- 中小企業がM&Aプラットフォームを利用する際に気にしたいこと
- 中小企業がM&Aプラットフォームに売却案件を掲載する前にしたいこと
- まとめ
事業承継でM&Aを選択する中小企業が増加傾向
できれば身近にいる人(子どもや社員など)へ大事な事業を託したいという気持ちを持つ社長も多いです。
後継者が見つかればいいのですが、後継者が見つからず、
「いつかは事業を託せる人材に出会える」
と信じ時間だけが流れていくというケースも。
後継者不在による倒産
東京商工リサーチが2022年に公表した「後継者難倒産」の調査によると、2022年上半期(1-6月)の後継者不在による倒産件数は224件と、前年比17.8%増になっています。
社長の「死亡」や「体調不良」が主な原因です。
社長の高齢化に伴い、事業が存続できないというリスクが高まってきます。早い段階から事業承継を考えていくことの大切さがこの調査からもわかります。
「後継者不在率」は減少
一方で、企業の「後継者不在率」は減少傾向にあります(帝国データバンク調べ)。
年々、事業承継に対する意識が高まっており、後継者探し、後継者育成へ力を入れている企業が増えていることがうかがえます。
M&Aという選択
後継者問題への意識が高まり、早い段階から後継者育成に取り組む企業が増えています。
とは言うものの、中小企業、特に零細企業では後継者候補となり得る人材が不足しているというケースも多いと思います。
そのような中で選択肢として出てくるのはM&Aです。
前述の帝国データバンクの調査でも、M&Aによる事業承継の形が増えているということが示されています。
中小企業が活用できるM&Aプラットフォーム
では、M&Aをしようと考えたときにどう進めていくか?
M&A仲介業者からのDM
社長のもとにM&A仲介業者からのDM(ダイレクトメール)がたくさん来ているのではないでしょうか?
私が支援している社長のもとには3〜5社程度からDMが来ています。中には手書きのものもあれば、「あなたの事業に興味を持っている企業がいます!」といった内容まであるようです。
そのDMの中から良さそうなM&A仲介業者に話を聞いてみるということもあるかもしれません。
ここで多くの中小企業にとってネックになるのが、M&A仲介業者に支払う手数料の高さです。仲介業者によって手数料は異なりますが、着手金、中間金、成功報酬(買収額の○%など)、相談料など必要となることがあります。
M&Aプラットフォームの活用
費用をなるべく抑えたいという社長に選択肢として持ってもらいたいものが、「M&Aプラットフォーム」の活用です。
M&Aプラットフォームとは、インターネット上で売り手と買い手をマッチングさせるサービスです。
数社のM&Aプラットフォームが存在しています。代表的なものとして、以下の3つがあります。
- TRANBI
- 2011年からサービス開始
- 地域金融機関とも連携
- Batonz
- 2016年からサービス開始
- M&Aの実務面も支援
- M&A SUCCEED
- 2017年からサービス開始
- 審査を通過した法人のみ利用可
この3つは、国が設置する公的相談窓口である「事業承継・引継ぎ支援センター」が連携しているプラットフォームです。
中小企業がM&Aプラットフォームを利用する際に気にしたいこと
M&Aプラットフォームのメリットとデメリット
M&Aプラットフォーム活用にはメリットとデメリットがあります。
メリット
- 低コスト。売り手側は無料となるケースが多い
- マッチングスピードが早い。掲載してすぐに興味を持った買い手から問い合わせがくることもあり、成約までのスピードが早い。
- 買い手登録をしている企業数が多い。
デメリット
- どのような買い手企業が登録されているかわからない。
- M&A仲介業者を介さない交渉の場合、当事者間のトラブル発生リスクがある。
- プラットフォームにより登録している業種や企業規模が違う。
M&Aプラットフォームの特徴
M&Aプラットフォームがいくつか存在していますが、プラットフォームごとに特徴が異なります。それぞれの特徴を踏まえ、自社にとって最適なものを活用するようにしましょう。
サポート体制
M&Aプラットフォーム選びで重視したいポイントは、
どのようなサポート体制が提供されているか
です。
マッチングサイトに心理的抵抗を持つ社長も多いと思います。売り手にどこまで寄り添うサポート体制を提供しているプラットフォームかという視点でも選んでいきたいです。
例えば、
○ 売り手情報を魅力的に掲載するサポートをしてくれるか ○ 買い手との交渉を円滑に進めるサポートをしてくれるか ○ M&A締結で必要な書類のサポートをしてくれるか など
中小企業がM&Aプラットフォームに売却案件を掲載する前にしたいこと
利用するM&Aプラットフォームが決まり、自社の事業内容を掲載する段階になりました。
掲載する前にしておきたいことがあります。
参考までに2つのポイントに絞ってご紹介します。
自社の「強み」を知る
自社の「強み」は何か?
基本的なことで、一番重要なことと言ってもいいことです。
私は仕事上、M&Aプラットフォームに掲載されている案件をのべ1000件以上閲覧してきました。この基本的な「強み」をしっかり書けている案件が驚くほど少ないという印象があります。
買い手企業にとって魅力的な案件でないと声がかかりにくくなります。マッチングサイトですので、どういった情報を載せるかで売り手企業の魅力の伝わり方が変わります。
この「強み」は買い手側にとっては魅力になる部分であり、引き継ぎ後のキャッシュの源泉にもなります。
自社の「強み」をしっかり整理しましょう。
M&Aプラットフォームによっては、どのような情報を掲載するかをサポートしてくれるものもあります。社長から事業内容をヒアリングし、魅力が伝わるように掲載内容を作成してもらえるものもあるようです。そういったサービスがあれば、積極的に利用することもおすすめです。
自社の「課題」を明確にする
自社の「課題」は何か?
自社の強みと共に載せたい情報としては、自社の「課題」です。
掲載されている案件を見ていると、どれもプラスのことばかり書かれています。「いかに自社の事業が魅力的か」を伝えたいので、当然といえば当然ですが。
ただ、どの事業も抱えている「課題」はあります。買い手企業のリソースではそれは「課題」にはならないかもしれません。
あらかじめ掲載情報に「課題」もわかるようにしておくことで、買い手側としても売り手への信頼性は増しますし、譲渡後のイメージもしやすくなります。交渉をスムーズに運ぶ手助けにもなります。
▼参考
中小企業がM&Aプラットフォーム掲載前に洗い出したい7つの自社の「魅力」
まとめ
M&Aに対する社長の抵抗感も以前と比べると和らいでいるようです。後継者が見当たらず、M&Aを考え始めたときには、こういったM&Aプラットフォームを活用することも選択肢として持っておきたいです。
マッチングサイトに抵抗感を感じる社長もいると思います。その際は、外部専門家とともに進めていくこともおすすめです。