こんにちは、3Cサポートの平山です。
M&Aプラットフォームを活用する中小企業・個人事業主が増えています。後継者不在の会社は活用したいサービスのひとつです。
私は2021年からM&Aプラットフォームに掲載される案件をチェックし続けています。この2年間で1000件以上の案件を閲覧してきました。
客観的に見て、事業が魅力的に感じる案件もあれば、そうでないものまで様々です。インターネット上のプラットフォームですので、魅力を感じないと事業に興味を持つ買い手事業者が見つかりにくくなります。
業績や財務内容が素晴らしければ、それが魅力になることもあります。ただ、そういう中小企業は多くはないため、自社の魅力をどう伝えていくかが大事になります。
M&Aプラットフォームの掲載前に、数字以外で、まず洗い出したい7つの自社の「魅力」を解説します。
目次
- M&Aプラットフォームとは何か?
- M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力①「事業に対する思い」
- M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力②「商品・サービス」
- M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力③「事業の強み」
- M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力④「顧客」
- M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力⑤「従業員」
- M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力⑥「集客方法」
- M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力⑦「課題」
- まとめ
M&Aプラットフォームとは何か?
売り買いのマッチングサービス
「M&Aプラットフォーム」とは、インターネット上で事業の売り手と買い手をマッチングさせるサービスです。
マッチングサイトというとネガティブな印象を持つ社長も多いのですが、利便性が良く、利用数は増えています。
国が連携しているプラットフォーム
M&Aプラットフォームは数百社あるといわれていますが、国が連携しているプラットフォームは以下の3つです。
- TRANBI
- 2011年からサービス開始
- 地域金融機関とも連携
- Batonz
- 2016年からサービス開始
- M&Aの実務面も支援
- M&A SUCCEED
- 2017年からサービス開始
- 審査を通過した法人のみ利用可
この3つは、国が設置する公的相談窓口である「事業承継・引継ぎ支援センター」が連携しているプラットフォームです。
これらは売り手と買い手をマッチングするサイトですので、売り手側としてはいかに自社が魅力的かを伝えていく必要があります。
M&Aプラットフォームに自社案件を載せたいと考えたら、まずは自社の魅力を整理しましょう。
M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力①「事業に対する思い」
M&Aプラットフォームで事業内容を載せる箇所があります。具体的にわかりやすく事業内容を記載すれば良いのですが、それに加えてその事業に対する社長の思いも載せていきたいです。
以下を洗い出してみてください:
- いつ事業を開始したのか
- どういう思いで始めたのか
- 何を大切にして事業を営んでいるのか
- どのくらい事業へ愛着があるのか など
社長や会社が大切にしている「思い」が魅力のひとつになります。
社長の思いが伝わることで、より価値観の合う買い手事業者が見つけやすくなります。できることなら、同じような思いを共有できる人と巡り会いたいですよね。
M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力②「商品・サービス」
自社が提供している商品・サービスを様々な角度から見ていきます。
以下を洗い出してみてください:
- どのような商品・サービスを提供しているのか
- 商品・サービスの特徴は何か
- 他社の商品・サービスと違うところはどこか
- お客様は自社の商品・サービスのどこを支持しているのか
- 商品・サービスに込められた思いは何か など
長く継続する会社は必ず良い商品・サービスを提供しています。ただ、同じようなものを提供している会社もあるため、具体的にどういう点が自社の商品・サービスの魅力なのかを伝えることが大切になります。
自社で把握している商品・サービスの魅力と、お客様が捉えている魅力が異なる場合もあります。余裕があるようなら、お客様にアンケートを取ることも有効です。思いもよらない自社の魅力が出てくるかもしれません。
M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力③「事業の強み」
自社の「強み」をしっかり整理しましょう。これを把握することが一番難しく、でも、買い手側は一番知りたい部分でもあります。
以下を洗い出してみてください:
- どういうところが強みか
- お客様はなぜ自社の商品・サービスを購入するのか
- この強みは個人(社長・社員など)に依存するものか
- この強みを作り出しているものは何か(人、スキル、モノ、資産、信頼、商品力など)
- この強みは引き継げるものか など
買い手事業者が「事業を譲り受けたあとこれらの強みをどう活かしていけるか」をイメージさせてあげられることが理想です。具体的に書かれているほど、興味を持つ買い手事業者が増えます。
M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力④「顧客」
自社の商品・サービスを購入するお客様についても詳しく見ていきます。
以下を洗い出してみてください:
- どういったお客様が購入しているのか
- どういう関係性なのか
- なぜお客様は自社と付き合っているのか
- ターゲットとする客層との乖離はあるのか
- お客様の抱えている悩みは何か
- その悩みをどのように自社の商品・サービスで解決しているのか など
販売先が一般消費者なのか、事業者なのかによっても違ってきます。
事業者相手のビジネスとした場合、事業者の業界がどのようなトレンドになっているかも併せて整理しておきたいです。
M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力⑤「従業員」
従業員の情報もとても大切です。
M&Aプラットフォームの案件を見ていると、従業員のことを詳しく記載していない事業者が多い印象があります。従業員数のみの記載もあります。
事業を前に進めている原動力は従業員ですので、ここが大きな魅力のひとつになるはずです。
以下を洗い出してみてください:
- 従業員は何人か
- 従業員の年齢層はどうなっているか
- 従業員の特徴は何か
- 従業員のスキルはどのようなものがあるか
- 従業員が持っている資格はあるか
- 従業員に対するお客様からの評価はどのようなものか
- 従業員のために会社が取り組んでいることは何か
- 従業員のモチベーションはどうか など
M&Aでは従業員の心理的負担を考慮していく必要があります。継続して雇用されるのか、新しい環境でも働きやすいのか、どういう変化が起きるのかなど、大きな不安が出てきます。
あらかじめ従業員のことを整理しておくことで、買い手事業者と丁寧な引き継ぎもできるようになります。
M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力⑥「集客方法」
どのように集客しているかもしっかり載せていきたいです。集客に関する情報を全く載せていない案件も目立ちます。
以下を洗い出してみてください:
- 集客する手段は何か
- 今までにどのくらいの集客方法を試したか
- 効果的な集客方法は何か
- そういったノウハウはマニュアル化されているか など
集客方法が、買い手事業者が得意とする部分と似通っているかもしれません。また、集客方法が違ったとしても、買い手事業者が既存事業で取り入れたいと思っている手段かもしれません。
集客方法を詳しく伝えていくことも買い手事業者に興味を持ってもらうひとつの手段になります。
M&Aプラットフォームに載せたい自社の魅力⑦「課題」
自社の「課題」は何か。
掲載されている案件を見ていると、プラスのことばかり書かれています。ただ、どういった事業でも抱えている「課題」はあります。
あらかじめ掲載情報に「課題」もわかるようにしておくと、買い手側から売り手側への信頼性は増しますし、譲渡後のイメージもしやすくなります。
以下を洗い出してみてください:
- 事業で抱えている課題は何か
- 業績や財務状況の課題は何か
- 従業員に関する課題は何か
- 集客面での課題は何か
- 商品・サービスの課題は何か
- 課題に対して現在取り組んでいることは何か
- 課題に対して今後取り組んだ方がいいと考えることは何か など
課題が明確に整理されていると、事業を引き継いだ後に買い手事業者がどこに注力すればいいかイメージしやすくなります。買い手事業者のリソースでは、現在の課題もすぐに解決できることかもしれません。
まとめ
M&Aプラットフォームに自社情報を掲載する前に、洗い出しておきたいことをご紹介しました。
洗い出した情報をもとにプラットフォームへ掲載していくと、より自社の魅力を伝えることにつながりますし、興味を持ってくれる事業者も増えてきます。
ぜひ参考にしてください。