経営者が知っておきたい|補助金の申請から交付までの流れと注意点

こんにちは、3Cサポートの平山です。

ご支援している経営者の方たちから補助金の申請がよくわからないというお声をよく聞きます。「補助金」と「助成金」の違いもわからないし、何に注意して申請すればいいかもわからないと。

今回は、補助金の申請から交付までの流れを解説していきます。補助金の種類によって多少違いはありますが、大きな流れとして参考にしてください。

目次

補助金の流れ:全体像

まずは補助金の大きな流れを押さえておきましょう。どの補助金もだいたいこのような流れで進んでいきます。

① 補助金の申請
② 採択・交付決定
③ 対象の取り組みを実施
④ 実績報告
⑤ 交付
⑥ 経過報告

①の申請に目が行きがちになりますが、④の実績報告や、⑥の経過報告も申請前にしっかり押さえておきたい項目になります。

それぞれどのようなことを行い、どういったことに注意しておきたいかを解説します。

補助金の流れ①:申請

補助金の申請までに必要なことを解説します。

「公募要領」の確認

申請する際には、必ず補助金の「公募要領」を確認しましょう。

「公募要領」は補助金のホームページからダウンロードできます。

馴染みのない言葉も多く出てくるため読むのは大変なのですが、重要な情報が多く盛り込まれています。取り組む事業のヒントになることもあります。

「公募要領」でチェックしたい主な項目は以下の通りです:

  • 補助金の目的
  • 対象となる事業者
  • 対象となる事業と経費
  • 申請の枠
  • 補助率と補助上限
  • 加点要件

細かい解説はこちらを参考にしてください。

▼参考
『小規模事業者持続化補助金』は自分で申請しよう!申請の流れを解説|「小規模事業者」向け

「gBizIDプライムアカウント」の登録

補助金の申請では、電子申請と郵送による申請があります。電子申請のみの受付という補助金もありますので、電子申請ができる準備をしておきましょう。

電子申請は、補助金申請システムの「Jグランツ」から申請することになります。

この「Jグランツ」から申請するためには、「gBizIDプライムアカウント」の取得が必要になります。

「gBizIDプライムアカウント」の取得に数週間かかることもありますので、早めに取得しておきましょう。

申請書類作成

補助金申請で必要な書類をそれぞれ作成していきます。

事業計画書が一番大事

書類の中でも「事業計画書」が一番大事で、この良し悪しが補助金採択の可否を分けるといってもいいと思います。

注意点

補助金の申請を行う前に理解しておきたいことがあります。これによっては補助金申請が自社には合わないというケースも出てきます。

半年以上あとの取り組みを考える

補助金申請の対象となる事業に取り組むまでには、半年以上時間がかかると思っていた方がいいです。

例えば、申請の締切日までに1〜2ヶ月あるとします。この締め切り日から採択の結果が出るまでに2〜3ヶ月、場合によってはそれ以上かかることがあります。

このように、申請書類の準備を開始してから取り組みを開始できるまでに、半年くらいはかかります。

経営をしていると、半年後はガラッと状況が変わっていることがあります。補助金が採択されても、申請した内容がそのときの自社の状況に合っていないケースもあります。

補助金の種類にもよりますが、短期より中長期で見通せる取り組みに対して補助金を活用していくことをおすすめします。

採択後からの取り組みが対象

補助金の対象となる取り組みは、採択後に「交付決定通知書」が交付されてから開始することができます。

それまでに支払った経費などは補助金の対象になりません。

採択されるとは限らない

補助金は採択されるとは限りません。審査があるからです。

申請から3〜4ヶ月経過してから採択結果がわかります。採択されれば予定どおり取り組みが開始できますが、採択されなかったらこの3〜4ヶ月が機会損失になる場合もあります。もっと早く取り組みを開始した方が良かったかもしれないためです。

そういう意味でも、中長期的な取り組みに対して補助金を申請することが大切になります。

補助金のために取り組みを寄せない

できるだけ補助金をもらうために、自社の取り組み内容を補助金の要件(対象など)に寄せるケースをよく見かけます。

補助金はあくまでも、自社の取り組みを補助するものです。補助金に自社の取り組みを寄せるとあとで苦しくなります。

補助金の申請を外部専門家に依頼する場合、丸投げするのはおすすめしません。外部専門家は補助金が採択されやすいように事業計画書を作成するので、どうしても補助金の要件に寄りがちになります。外部へ依頼する場合は、必ず内容をチェックするようにしましょう。

補助金の流れ②:採択・交付決定

補助金申請の締切日から2〜3ヶ月後に採択結果が出ます。

採択結果の確認

「公募要領」に採択結果が出る大体の時期が記載されていますので、その頃になったら結果を確認するようにします。

補助金事務局のホームページに公表されます。

その後、「交付決定通知書」が通知されます。「Jグランツ」で電子申請した場合は、このシステム内で通知書が確認できます。

補助金の流れ③:取り組み

「交付決定通知書」が届いてから、取り組みを開始することができます。

事業計画に沿った取り組み

補助金申請書の中の事業計画に沿って取り組みを実施します。

ただ、半年前に立てた計画通りに進められないということもあります。経営環境が変わるため、なかなか同じようにとは行きづらいもの。

そういった場合は、計画変更申請を行います。事務局の承認が得られれば変更した計画で取り組みが行うことができます。

注意点

補助金対象の取り組みを実施する際に押さえておきたいことがあります。

採択後から発生した経費が対象

採択後「交付決定通知書」が通知されてから発生した分が補助金の対象経費になります。

実績報告の締切日は押さえておく

取り組み完了後に、実績報告を提出する必要があります。この実績報告をいつまでに行う必要があるか日にちを押さえておきましょう。期限内に報告しないと補助金が交付されません。

実績報告で必要な経費書類等は準備する

実績報告ではあらゆる経費関連書類の提出が求められます。あらかじめどのような書類が必要になるかを把握し、取り組み中に少しずつ準備していくことをおすすめします。

取り組み期間内に支払いが完了すること

申請した事業の取り組み期間内に支払った経費が補助金の対象になります。

例えば、取り組み期間が4/1から12/31の場合、対象となる経費は12/31までに支払っている必要があります。

クレジットカードで決済した場合、引き落とし日が支払日になります。12月に決済しても、1月に引き落とされるとしたら、この経費は対象外になります。

個人名義のクレジットカード

SNS広告など、経営者の個人名義のクレジットカードで決済するケースがあります。個人名義で決済する場合、別途、会社に対して立替払いを精算するという手続きが必要になります。

かなりややこしくなりますので、事前にどういった手続きが必要になるかは確認しておきましょう。

補助金の流れ④:実績報告

取り組みが完了し、実績報告を行う段階になりました。

実績報告書の提出

実績報告書の提出は、とても煩雑になります。揃える書類が多岐に渡るため、しっかり管理していていく必要があります。

実績報告で不備があると事務局と何度もやり取りが発生し、多くの時間が取られ、本業の妨げになりかねません。

注意点

想像以上に煩雑

実績報告の作業は想像以上に煩雑です。どれだけ取り組み中から必要書類を準備していたかによってこの煩雑さも変わります。

時間に余裕を持つ

実績報告を行ったのち、書類に不備があると事務局から修正を依頼されます。このやり取りが何度も繰り返されることもあり、時間には余裕を持って対応したいです。

補助金の流れ⑤:交付

補助金請求を行う

実績報告後、事務局で検査し補助金額が確定します。補助金額が確定すると、「補助金確定通知書」が通知されます。

この通知が届いたら、精算払請求等をすることになります。

入金確認

精算払請求を行うと指定の口座へ入金されます。

補助金の流れ⑥:経過報告

補助金が入金されてホッとしますが、これで終わりではありません。

経過報告が必要

事業の取り組みが完了してからしばらく経ったのち、実績や効果を報告する必要があります。

補助金により、報告の時期や回数が違います。

例えば、「ものづくり補助金」では、毎年4月に5年程度報告が必要になります。

(ものづくり補助金 「公募要領(概要版)」より抜粋)

まとめ

補助金の申請から交付までの流れと注意点を解説しました。

補助金は、申請して採択されるまでが難しいというイメージがあります。実際には、採択されたとしても、申請通りの取り組みがしづらい(経営環境の変化などで)、実績報告に時間が取られる、経過報告もしないといけないなど発生します。

この一連の流れを全て自社で行うのか、一部を外部専門家へ依頼するのかも併せて検討するといいかと思います。

補助金に関するご相談

35歳のときに40年以上続く会社を後継者として 事業承継を行い、6年間代表として経営に携わりました。代表を退任後は、自身の経験をもとに東京都を中心に中小企業の事業承継を支援しています。中小企業診断士/M&A支援機関登録/やまなし産業支援機構派遣登録専門家