経営が厳しくなっている中小企業が、新規事業に打って出るのは大変なことです。
そのくらいの踏み出しで事態を変えていかなければいけないという考えもあります。
ただ、出血して応急処置が必要なときには、血を止めることが先決なわけで、出血しながら旅行行きましょうといっても無理な話。
その事業で長年やってきたのであれば、そこには事業者の強みがあり、設備もあるかもしれない、働いている社員もそれに特化しているかもしれない。
新規事業が実るのには時間もかかりますし、リソースも必要になります。
そこに向かうことは大事であっても、今現在それができるかどうかは、また別の話です。
事業者の状況をしっかり確認しないと、安易に新規事業を提案できません。
社長は死に物狂いで日々を過ごしている。
その社長に寄り添わない中で、思いついたアイデアを出しても受け入れられるわけがない。
社長に対して失礼です。
赤字の美容室があったとします。
コンサルが「だったら、ネイルも始めましょう!」と言います。
美容室のオーナーはどう思うか。
ネイルも確かに美容の括りだし、ターゲット層も近寄っている。
でも、技術も違えば、コンセプトも違う。
人を雇わないといけないし、設備や道具も準備しないといけない。
そのリソースがあるかないかも確認しない中で、今の美容室を建て直したいと思っているオーナーに対して安易にこんなアイデアは出せるわけない。
外から見ていると、いろいろなアイデアが出てくるので言いたくなります。
それが有効かどうかは別問題。
できるなら、もうすでにトライしているでしょう。
それができない理由も結構あるものです。
そこを吹っ飛ばして、アイデアだけ投げる外野は、ぜひ退場していただきたい。
私が美容商材を扱う会社を経営していたときのことです。
「専門家」と言われるコンサルに相談したことがあります。
公的派遣なので無料でした。
その人は美容業界が詳しいらしい。
「伸ばしたいなら、〇〇(大手の美容商材通販サイト)に出せばいいじゃないですか」
うちの会社がどういう価値観で、何を大事にしているかも確認せず、簡単にこんなことを言われました。
こういうとき、ホント苦笑いです。
それをやったら既存客(美容室)との何十年という関係性は一気に崩壊します。
今のスタイルが当社の強みが活かせる状態になっているからこそ、そんな誰でも考えられそうなアイデアはそう簡単に実行できないのです。
今は公的派遣で「専門家」として事業者と対峙する立場になりました。
自分が安易な外野になっていないかどうか。
自省しながら、そうならないようにしていきたいと思っています。
