どういう影響があるか思考を巡らせる。
そういう習慣をつけていきたいと、ある記事を読みながら感じました。
「GLP-1受容体作動薬」という抗肥満薬に関する記事(「The Economist」(2023.10.14号/2023.3.4号))を読みました。
GLP-1とは小腸から分泌されるホルモンで、インスリンを分泌することで血糖値を下げたり、胃腸や脳に働きかけて満腹感を得たり、食欲を抑えたりする働きがあります。
GLP-1受容体作動薬は体の外からGLP-1を補う薬です。
世界の人口の5分の2が肥満または過体重です。
2035年には全体の半分が肥満または過体重になると予想されています。
肥満による経済損失は4兆ドルに上り、世界GDPの2.9%に相当するそうです。
このGLP-1受容体作動薬は糖尿病の治療以外にも、米国ではダイエット目的で処方することが認められています。
米国では肥満や過体重の割合が全人口の7割に上ります。
この薬に対する期待値も高いのでしょう。
現在、需要が多く供給が追いつかない状態のようです。
興味深いのは、この抗肥満薬が様々なところへ影響を及ぼしていることです。
米国のスーパーマーケットWalmartの調査によると、このような抗肥満薬を購入した顧客はそうでない顧客と比べて、購入する食料品が少なくなったようです。
他の試算では、飛行機の乗客が平均4.5キロ減量すると、年間8000万ドルの燃料費が削減できるそうです(「クーリエ・ジャポン」より)。
今後この薬で減量する人が増えてきたら、食料品の購入が減ったり、燃料費のコストが抑えられたり、痩せたことで新しく服を購入する需要が増えたりと、企業の業績にも影響を与えそうです。
このように1つの事象が様々なところへ影響を及ぼすということが面白いです。
私は記事などを読んでいても内容を受け止めるだけで精一杯で、そのテーマがどういうところに影響を及ぼすかまで想像するということが不足していると感じました。
物事はあらゆることに影響を及ぼす。
そこを踏まえて思考を巡らせるような努力はしていきたいという気持ちにさせられました。