「そういえば、20年前、役者になりたいと思っていたな」
仕事仲間に連れられて中目黒のバーに行ったら、お店の常連さんで女優業で頑張っている30歳前後の女性がいました。夢に向かいながら、やっぱり不安も大きいようで。
その方と話していて、自分も若い頃に役者を目指していたことを思い出しました。アメリカの大学で演技に夢中になり、日本に帰ってきてからはオーディションを受けていました。
大好きな役者さんは、アル・パチーノさん、ロバート・デ・ニーロさん。レジェンド中のレジェンド。
欧米と日本では演技の考え方が若干違うのですが、アメリカで著名な演技の本があり、その中にこんなことが書いてありました。
役者になるために観察力を磨くことが大事。植物を見たとき、「緑色」では不十分。「緑色」には濃い緑もあれば薄い緑もある。いろいろな緑色がある。そこに気づけるようにならないといけない。
当時は、観察力を磨くことが大事なんだなー、としか思っていませんでした。たまにこれを思い出すのですが、実はもっと深い意味があるのではないかと思っています。
中国の古典『大学』の中にこういう文章があります。
「心ここにあらざれば 視れども見えず 聴けども聞けず 食えどもその味を知らず」
(うわの空ではものを見ても見えておらず、聞こえていても聞こえておらず、食べてもその味がわからない)
先ほどの本の著者は、こういうことを言っていたのではないかと思うようになりました。
どんな分野でも、突き詰めていくと同じところに行き着くとよく言われます。富士山もいろいろな登り方がある。どのルートから登っても頂上にたどり着いたら同じ場所になる。
夢を持ち続けて生きるのも良し、
生活優先で現実的になるも良し、
たくさん失敗するのも良し。
どんな結果になろうとも、夢に向かってトライできている時間、何かを選んだ決断、決して無駄にはならない。振り返ってそう思います。
そんなことを思い出させてもらえた中目黒の夜(朝!?)でした。