『変革的コーチング』(マーシャ・レイノルズ著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

この夏の課題図書として、自分の振り返りも兼ね、「コーチング」に関する本書を読みました。
コーチングは「内省的探究」を中心に据え、問題解決ではなく相手の内面を一緒に探っていくことが基本になります。
コーチングをやる上での基本的な考え方であり、とても大事な部分です。
基本的手法が紹介されているのですが、その中のひとつで「要約する」ことの大切さを改めて認識しました。
相手が話した内容を要約して提示することで、相手は客観的に自身で発した内容を見る(聞く)機会になります。これが、相手の内省的探究を促すきっかけにもなります。
コーチングをやる上で様々な手法はあるのですが、それを意識している間は本当の意味でコーチングができているとは言えないと思いました。
意識しているということは、それはベクトルが自分に向いているからで、相手に完全に向ききっていないためです。
意識しないでもそれらの手法が身についている状態まで高めていくことが理想です。
結局は、相手にどれだけ集中できるか、いかに相手を中心に据えられるかなんだと思います。
「クライアントとの会話に全身全霊を傾けることが重要で、そうしなければ一流の域に達することができません。全身全霊を傾けるには、今その瞬間のクライアントとのやりとりだけに身も心も集中する必要があります。」(p.268)
全身全霊を傾け身も心も相手に集中しているか?
常に自問自答したい内容です。
私は中小企業経営者相手に経営支援を行っています。
経営者とのやりとりを行う上でコーチングやカウンセリング技術を活用しています。
完全に「コーチング」に徹しているわけではなく、コンサルティング(助言)の部分と合わせています。
本当の意味でコーチング効果を高めるためには、「コーチング」に徹する方がいいのだと思いました。
日本ではまだまだ「コーチング」をお金を払って受ける人は多くありません。
「コーチング」という言葉は浸透しており、上司が部下へ関わる際の「技術」として捉えている人は多いのではないでしょうか。
経営コンサルティングの面でも、コーチング手法での進め方を国は推奨しています。
どちらも手法としては有効ではありますが、本当の意味での「コーチング」にはなりきれない部分はあると思います。
自分の中でどう「コーチング」と「経営支援」を両立させていくかが今後の課題だと、本書を読みながら確認しました。
この本のタイトルにある「変革的」という言葉は強い響きです。
はじめは、今までとは違う(変革的な)コーチング手法を紹介している本なのかと思いました。
ここでいう「変革的」というのは、クライアントがコーチングを通して自己成長していくという意味です。
邦題が少し過大な印象を与えてしまう気がするため、読む人の期待と違うことになるかもしれません。
技術を求めている人ではなく、自分のコーチングを振り返りたい人に合う本だと思います。
