『実践 対話型組織開発 生成的変革のプロセス』(ジャーヴィス・ブッシュ著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

組織開発に関する本です。
本書では、対話型組織開発をどう実践で行えば良いか、事例を交えながら示されています。
組織開発を、従来の手法である「診断型組織開発」と「対話型組織開発」とに分けています。
対話型組織開発とは特定の手法を表すものではなく、あくまでもマインドセットだといいます。
「1つは、私たちの社会的現実は、私たちが話すことによって構成され、維持され、変化するという考え(中略)もう1つは、リーダーの指示や計画がなくても社会システムは出現し、自己組織化するという考えである」(p. 5)
対話型組織開発の中に、「生成的変革モデル」というものが出てきます。
「生成的変革モデル」は、複雑な問題(適応課題)に対処する際に、どのような結果がもたらされるかわからないという前提を置きます。
一方、比較される「計画的変革モデル」は、解決したい問題を明確にすることからスタートします。
「計画的変革モデル」では適応課題への対処が難しいことや、汎用性の高いツールやテクニックでは対処が限定的であるとしています。
複雑な問題が起きる今の時代では、「生成的変革モデル」が求められます。
生成的変革モデルでは、適応課題の特定をしたあと、パーパス・ステートメントの策定(生成的イメージ)へ移ります。
パーパスとは、グループや組織が目指すべき方向性を表現したもののことです。
そして、生成的イメージとは、グループにとって新しい言葉の組み合わせで、以下3つの要件があります:
- メンバーが状況を新たな視点で捉えることができ、新たな会話が生まれること
- 言葉に説得力があり、イメージが指し示す新たな方向性で行動がしたくなること
- 曖昧で明確に定義するのが難しいこと
このような生成的イメージをもとに、関わるメンバーが対話を行い、適応課題にどう対処していけばいいかを小さな実験と検証を繰り返しながら進めていきます。
実験を通して成功したことや失敗したことを学びと位置付け、成功した取り組みを拡大していきます。
この一連の流れをどうデザインするかが、対話型組織開発の実践者の役割です。
そして、この一連の流れをつくっていくのは、当事者である組織のメンバーとなります。
本書からの気づきとして3点ありました。
1つ目は、コンサルタントはチームの会話の中心にいてはダメであるということ。
ファシリテーターのような役割になってしまうと、本来はメンバー同士で意見の交換がされるべきなのに、メンバーはコンサルタントに向けて意見を言うことになってしまう。
コンサルタントはあくまでも聞き役に徹すること。
2つ目は、メンバー同士の対話がスムーズにいくためにも、まずは「自由参加」でメンバーを集める方がいいということ。
強制で集められるより、自分の意思で参加する方が、前向きな取り組みになる可能性が高いといいます。
3つ目は、メンバーが話し合って取り組みを決めて実行に移す段階で、上司たちに求められることはコーチングであるということ。
間違っても、「報告−指示」の関係性を作らないことです。
そして、上司たちにコーチングスキルがないようなら、コンサルタントはコーチングスキル習得を求めていくべきであるということ。
この3点は大きな気づきでした。
本書は1つの事例を通して対話型組織開発の進め方が示されているので、理解が深まりました。
今後は、これらの考えの土台になっている理論をしっかり押さえていきたいと思います。
