『神話の力』(ジョーゼフ・キャンベル、ビル・モイヤーズ著/早川書房)

ジョーゼフ・キャンベルさんの『千の顔をもつ英雄』で神話の構造に触れました。
その後、YouTubeでビル・モイヤーズさんとの対談番組の映像を見た際、話の内容が面白く引き込まれました。
本書はその番組に基づく内容で対談形式となっています。
読み終わっての感想としては、キャンベルさんもモイヤーズさんも博識だなということです。
神話、宗教、哲学、心理、芸術など様々な分野の知識が豊富。
知識だけでなく、思想としても深いものがあります。
本書は何度も読み返したい。
その時々の自分のステージに応じて受け止める内容が異なる本だと思います。
今の自分が印象に残ったことを記しておきます。
「人間がほんとうに求めているのは<いま生きているという経験>だと私は思います。(中略)<いま生きている>という実感と結びついた無上の喜び(中略)それこそ人生で最も大切なもの」(p. 43)
「いまここ」、ということですね。
そして、「自分の至福を追求しなさい」といいます。
「もし自分の至福を追求するならば、以前からそこにあって私を待っていた一種の軌道に乗ることができる。そして、いまの自分の生き方こそ、私のあるべき生き方なのだ(中略)そのことがわかると、自分の至福の領域にいる人々と出会うようになる。その人たちが、私のために扉を開いてくれる。心配せずに自分の至福を追求せよ、そうしたら思いがけないところで扉が開く、と私は自分に言い聞かせるのです。」(p. 262)
自分の至福を追求すれば、世界がそれをサポートしてくれる。
奥深く、そして美しい考え方だと思います。
ドイツの哲学者ショーペンハウアーの考え方が紹介されています。
「人が高齢に達して人生を振り返って見ると、そこには、まるで小説家が意図的に構成したかのように、一貫した筋道や計画があったように見えることがある、と指摘しています。」(p. 471)
人生は不思議であり、あたかも導かれているようでもある。
自分の至福を追求する先には、必ず自分の最適な「筋道」ができている。
この考え方が好きです。
これを大事にして前へ進みたいと思いました。
芸術家にも触れています。
自然に備わっている神性を我々にわからせてくれるのは芸術家だといいます。
「神話を現代に伝えるのは芸術家です。ただし、神話のことも、人間のことも、よくわかっている芸術家に限ります。」(p. 220)
そして、芸術家でない人はどうやって神性をわかることができるのか。
キャンベルさんはこうアドバイスします。
「部屋に座って本を読む—ひらすら読む。然るべき人たちが書いたまともな本ですよ。すると知性がその本と同じ高さまで運ばれ、あなたはそのあいだずっと、穏やかな、静かに燃える喜びを感じ続けるでしょう。(中略)あなたをほんとうにとらえて離さない作者を見つけたら、その人の全著作をお読みなさい。(中略)こうするうちに、あるひとつの観点から見た世界像が見えてくるのです。」(p. 220)
芸術に触れることの大切さ、本を読むことの大切さに気づかされます。
特に、長年残っている古典に触れることは大事です。
そこから何を感じとることができるのか。
本書は難しい部分も多いのですが、読んでいてなんとなく心が落ち着く感じがしました。
寝る前に読むと気持ちよく睡眠に入れます。
次は、古典を読もうと思っています。
