『THE COMING WAVE AIを封じ込めよ』(ムスタファ・スレイマン、マイケル・バスカー著/日本経済新聞出版)

AIが身近になってきました。
AIが進化していく流れを今目撃している、という感覚を持っています。
そのAIにもリスクはある。
リスクをどう「封じ込める」かという視点で本書は書かれています。
「封じ込め」とは。
「技術・文化・規制にまたがる各側面でテクノロジーを管理・統制するための基盤だが、根源的には、局所的で小規模なものから地球規模や人類の生存に関わるものまで、テクノロジーの悪影響を大幅に軽減する、あるいは完全に止める力を手に入れること」(p.362)
「テクノロジーの封じ込めには、規制や技術的安全性の向上、新しいガンバナンスと所有のモデル、新様式の説明責任と透明性が含まれる。」(p.60)
リスクも多いAIをどう管理していくか。
今後想定されるテクノロジーの「波」として4つの特徴があります。
- 非対称:従来の力のバランスを大きく変える可能性
- 超進化:急速な発展
- オムニユース:さまざまな目的に用いられる
- 自律性:AI自体が自律型システムである
これらの波に対してどう人類は対応(封じ込め)していくのか。
悪用されるリスクも大きい。
封じ込めのステップとして著者は10のテーマを論じています。
その中で、「チョークポイント」というのが印象に残りました。
チョークポイントとは、開発を遅らせることで規制の整備や防御技術のために時間を稼ぐことです。
開発スピードが遅くなれば、その分だけリスク軽減の対応がしやすくなります。
GPT-4がリリースされた頃、AIの専門家や業界関係者がAIの開発を6ヶ月間停止するよう呼びかけたことがありました(2023年)。
ライバル企業がAIの開発が遅れているために声を上げていると思っていましたが、今から思うと、あれは「チョークポイント」の考え方だったんだということがわかりました。
各国でAI規制が進んできましたが、国によって考え方が異なります。
EUは規制が強めで、米国はゆるやか、日本はその中間くらいでしょうか。
AIをどう管理していくかは大きな課題ですね。
政府の規制と併せて、業界内での情報公開を円滑にしていく仕組みづくりも大切になります。
情報公開が進むことで、どこで一旦立ち止まる必要があるかも見えてきます。
本書を通じて、AIのリスク管理という視点で考える機会になりました。
AIの良い面・悪い面の両面を押さえながら、このテクノロジーの進化を見ていきたいです。
