『エフェクチュエーション』(サラス・サラスバシー著/碩学舎)

起業する際の手法で「エフェクチュエーション」というものがあります。
起業家が自身のリソースやネットワークを活用しながら、計画を固めずに柔軟に進め、予測不能な状況に適応しながら事業を展開する理論のことです。
ヴァージニア大学ダーテンスクールのサラス・サラスバシー教授が研究からまとめた概念であり、本書で詳しく研究内容が書かれています。
「エフェクチュエーション」の考え方は入門書も出ており、そちらである程度は理解していました。
自身で担当する起業向けセミナーでエフェクチュエーションの要素を伝えたいと思い、本家でもある本書を読むことにしました。
本書で印象に残った点は、「エフェクチュエーションは体系的な競合分析を重要視しない」というところです。
「なぜなら、彼らは、予め決められた市場を前提とせずに創業プロセスを開始するので、詳細な競合分析はスタートアップ期にはあまり意味をなさないためである。(中略)その代わりに、熟達した起業家は初めからパートナーシップを結ぶ。」(p.116)
起業向けのセミナーでは「競合を把握しましょう」といった内容が必ず出てきます。
でも、エフェクチュエーションの観点では、競合分析は意味をなさないと言っています。
これは興味深い。
そして、その代わりに「パートナーシップを結ぶ」という考え方が出てきます。
つまり、競合分析をするくらいなら、誰と組めるかを考えながら前に進んでいった方が良いということです。
実際に動き出すと想定とは違うことが起きますし、違った方向性になることもあります。
方向性が変われば競合も変わります。
パートナーシップを結ぶということは、一人だけで進むより新たな可能性を拡げられるということでもあります。
この考え方に共感します。
本書は学術書であり、研究内容といった要素も強いため、読み見通すのに時間がかかりました。
「エフェクチュエーション」の考え方を伝えていくためにも、目を通しておいて良かったです。
