0485 『ファスト&スロー(下)』

『ファスト&スロー(下)』(ダニエル・カーネマン著/早川書房)

行動経済学・心理学の大家である故・ダニエル・カーネマンさんの代表作。

上下巻あるうちの下巻です。

上下巻を通して「認知的錯覚」(直感的に信じてしまう認識の誤り)が説明されています。

その中では、大きく分けて3つの概念で深堀しています。

1つ目は、「システム1」と「システム2」。

「システム1」は直感的に判断すること、「システム2」はじっくり考えて判断することです。

2つ目は、「エコン」と「ヒューマン」。

「エコン」は経済学理論の前提ともなる『人は合理的な意思決定をする』というもので、「ヒューマン」とは現実のわれわれのことです。

3つ目は、「経験する自己」と「記憶する自己」。

「経験する自己」は何かを経験している瞬間に感じていること、「記憶する自己」はその経験をあとから振り返り記憶で感じることを指します。

「競争の無視」に関しての考えが印象に残りました。

多くの人はうまくできることに関して過度に楽観的になりやすく、平均以上だと考えてしまうといいます。

ビジネスにおいては、競合他社との競争を無視してしまい、自分たちのやっていることが平均以上であると認識してしまう。

「競争を無視すれば過剰な市場参入が起き、過当競争が発生して、もはや利益は確保できなくなる。そうなれば当然ながら、平均的な結果は赤字になってしまう。」(p. 61)

私の考え方に少し修正が入りました。

以前会社を経営している立場だったとき、競合他社のことは意識せず自分たちができることに集中していました。

自社は自社と思っていました。

でも、たしかに競合のことを考えることは大切だし、そこを考えないと本書でも言うように「平均以下」になって会社は沈んでいくのではないか。

今後はもう少し「競合他社」という視点を強く持っていこうと思いました。

もう一つ印象に残った箇所は、経験に対する記憶に関してです。

「システム1の機能の一つである私たちの記憶は、苦痛または快楽が最も強い瞬間(ピーク時)と終了時の感覚とで経験を代表させる」(p. 274)

苦痛が短い時間であっても、ピーク時の苦痛と最後の苦痛が大きければ記憶としてはかなり不快なものになる。

苦痛が長く続くとしても、終了時の苦痛が穏やかなものであれば、こちらの方がましな経験と記憶される。

「終わり良ければ全て良し」という言葉がある通り、最後にどう締めくくれるかを意識するのは何事においても大切だと思いました。

行動経済学は面白い。

人は必ずしも合理的ではないし、選好や選択も様々な要素で変化する。

上下巻を通して様々な概念や実験の話が出てきます。

本書は1度読んだだけだとなかなか理解しづらいため、適度に読み返していきたいです。

次は「ナッジ」に関して理解を深めていこうと考えています。

経営経験やコーチングの実践を通じて、深い対話により経営の選択肢を広げ、納得感のある意思決定をご支援しています。また、組織やチームの関係性を育む支援に取り組んでいます。3Cサポーター/中小企業診断士
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