箱根の温泉宿で1泊過ごしました。
雨が降る中、一番端に車を停め、エントランスをくぐるとホテルと旅館のあいだくらいの空間が広がります。
ソファに座っているとタブレットを持ったスタッフが膝をついて応対してくれました。
部屋に行くまでに雨に打たれた早咲きの桜が見えました。
部屋には露天風呂が付いており、正面には茶色と濃い緑色をつけた山があり、下をみると新緑の木と、その下には小さな川が見えます。
手前の葉のない木に目をやると、枝の下側にうっすらとピンクに包まれた雨粒がならび、イルミネーションを見ているような気持ちになってきます。
霧が出ており、「きっと遠くから見るとこれは雲なんだろうな」と間近だと雲に見えないことが不思議になる。
湯に浸かっていると、どこから来たのか湯船の端には蟻が2匹歩いていました。
夕飯はクラフトビールで乾杯後、地域の野菜や魚を楽しみ、明治の頃に食べられていた牛鍋を味噌ベースでいただきます。
ビールだけでは飽き足らず、スパークリングに、赤ワインに、焼酎に、そして締めのビール。
寝る前にひっくり返らないようにと願いつつ熱い湯につかる。
朝は気持ちのいい天気になりました。
鳥の鳴き声を浴びながらお湯へ浸かったあと、美味い珈琲を飲み、わらじを履いた体操をしてから、朝食をいただきました。
散歩をし、大浴場へ行き、部屋の露天でゆっくりする。
ロビーのソファで珈琲を飲み、志賀直哉の『城の崎にて』を想う。
寄木細工体験をし、時間を惜しむように露天に浸かる。
お昼にチェックアウトし、笑顔で手を振るスタッフに運転席の窓から挨拶をし、宿をあとにしました。
旅行に行く前に戻らないかな。
翌朝に歯を磨きながら思います。
あの始まる前の地点が恋しくなる、まだ何も旅の体験をしていないのに。
記念の品を置いた本棚を視界に入れ、今日もいつものルーティンで仕事をしています。
