『三行で撃つ』(近藤康太郎著/CEメディアハウス/2020年)

睡眠を惜しんで読んだ(笑)
文章術の25項目は目からウロコで学びが多くウキウキしっぱなしだった。
— こんな文章書いていたら著者に叱られそうです。
この本を思想書として読みました。
文章力を高めるためのポイントが書かれていますが、根底にあるものに惹かれます。
書き手がどう世界を見るのか、切り取るのか、表現するのか。
これに尽きる気がします。
私は演劇を専攻していましたが、演技論の中でこのような言葉が出てきます。
「表現者は、葉っぱの緑色の違いがわからないといけない」
葉っぱは緑色ですが、観察すると葉っぱによって緑の濃淡が違う。
それをわかる感性を養いなさいということです。
本書も同じことを言っています。
「常套句を使うとなぜいけないのか。(中略)常套句はものの見方を常套的にさせる。世界の切り取り方を、他人の頭に頼るようにすることなんです。」(p. 53)
たとえば「目を輝かせた」と書いた瞬間に自分の表現を放棄したことになる。
目を輝かせるとはどういうことなのか。
表現者は安易な道を選んではいけないのです。
「読み手を想像して書け」と指南する本はたくさんありますが、本書は違う。
「はっきり読者(=消費者)が見えていて、読者を目がけて狙った文章は、迫力に欠ける。」(p. 131)
「だれも理解してくれなくても、だれに求められなくても、自分のために、世界のために書く。そういう文章は、熱量が途方もなく高ければ、どこかに読者は現れる。」(p. 131)
これで連想されるのが、最近読んだ『こころ』(夏目漱石著)に出てくる「先生」の手紙です。
あの長い手紙ほど熱量のあるものはなく、死ぬために書いている(と私は捉えています)ため迫力が違う。
自分のために、世界のために書く。
「結論は書き始める前には自分にも分かってない。そこが、文章を書くことの急所だ。」(p. 90)
翼を広げて行き先を考えずに、自由に空を舞う。
円を描くようにして、一点に降り立つ。
そういう文章を書きたいです。
