静かな一日を過ごしています。
運動不足を解消するために浅川を散歩するときは歩くスピードを早めるのですが、今日ばかりは小学生の女の子と同じペースです。
春の陽気をじっくり味わいたくなったのです。
みんなどこかに行っているのだろうかと思うほど、家の周りは人が少なく、これが八王子の魅力なんだとしみじみ思います。
志賀直哉の『城の崎にて』を読みました。
山手線にはねられたあと城崎温泉で療養していたときのことを書いており、「静か」という言葉が随所に出てきます。
ある描写に心が留まりました。
風もないのに桑の葉がヒラヒラと動いているのを下から眺めていると、風が吹いたときに葉の動きが止まったというのです。
普通は、風が吹くから動き、やむから動きが止まる。
「原因は知れた。何かでこういう場合を自分はもっと知っていたと思った。」
私の頭の中は「?」で満たされました。
桑の葉といえば、八王子は「桑の都」です。
江戸時代から養蚕や絹織物が盛んだったからです。
小学生のとき、校内だったか課外授業だったか記憶は定かでありませんが、蚕に桑の葉を食べさせる体験をしました。
白い蚕に緑の葉。
このコントラストが印象に残っています。
あの芋虫の形をした昆虫から糸が吐き出されることも不思議ですが、それがまゆになり絹糸になることもなんだか不思議で仕方ありません。
「?」を持ちながら浅川の自然を眺めていると、桑の葉の描写が、多感な時期に夢を追いかけているときに他人から言われた「ホントにそんなことできると思っているの?」と重なってきます。
「これだ」と思って走っているのに、外からの言葉で萎縮してしまう。
「ホントにそんなことできると思っているの?」 ・・・ ふふ、なんだか私が小学生のときに蚕に投げた言葉と変わらない。
こんなのんびりでいいのだろうか。
なぜだかいつもと違って即答できます。
いい。
