「目の前のチャンスを全て取りに行きたい」。
営業担当者という立場なら、そう思うのが自然だと思います。
私ならそう思ってしまう。
顧問先へある会社を紹介しました。
以前私が経営していたときに取引があり、感じの良かった会社さんです。
そこの営業担当者がこうおっしゃいました。
「御社のこの部分は現在の取引先に任せ、こちらの部分を弊社でやらせてもらうのはいかがでしょうか?」
ずいぶん謙虚だなと思いました。
私なら全て任せてくださいって言いたくなる。
「両社でやることのメリットとして、牽制しあえるということがあります。」
なるほど。
つまり、1社にすべてを任せてしまうと、その会社の提示する価格に合わせることになり、気がついたら市場の価格との乖離が出てくることがあると。
競合する2社とあえて取引することで、お互いの牽制になるということです。
もちろん、1社に任せることでサポートが手厚くなるというメリットはあります。
この考え方がユニークだったため、印象に残りました。
営業の立場でよくここまで一歩引きながら言えるなあ、と感嘆しました。
初対面とはいえ、飛び込み営業でもなく、紹介からの新規提案であるため、もう少しぐいぐいいってもおかしくない。
この会社の文化がそうさせているんだと思いました。
私が以前からこの会社に好感を持っていたのも、このように相手のことを考えて接してくれるからです。
「今月以内だったらこれだけ安くなります。来月になったら、逆にこれだけ高くなります。」
なかにはこのような脅迫めいたアプローチを取る営業担当者もいます。
こういう営業に限って、顔を出すのは年末など、営業成績を上げないといけない時期のときだけということも多い。
自分都合の営業になっている。
こんなところとは付き合いたくない。
顧問先の社長もそういう思いでした。
相手のことを考えて提案しているかどうか、やはり、そこが営業の基礎なのだと思います。
「牽制しあう」
そんなのはいい。
すべて任せたいので、やってください。
そう感じた打ち合わせでした。
