1044 「牽制しあう」

「目の前のチャンスを全て取りに行きたい」。

営業担当者という立場なら、そう思うのが自然だと思います。

私ならそう思ってしまう。

顧問先へある会社を紹介しました。

以前私が経営していたときに取引があり、感じの良かった会社さんです。

そこの営業担当者がこうおっしゃいました。

「御社のこの部分は現在の取引先に任せ、こちらの部分を弊社でやらせてもらうのはいかがでしょうか?」

ずいぶん謙虚だなと思いました。

私なら全て任せてくださいって言いたくなる。

「両社でやることのメリットとして、牽制しあえるということがあります。」

なるほど。

つまり、1社にすべてを任せてしまうと、その会社の提示する価格に合わせることになり、気がついたら市場の価格との乖離が出てくることがあると。

競合する2社とあえて取引することで、お互いの牽制になるということです。

もちろん、1社に任せることでサポートが手厚くなるというメリットはあります。

この考え方がユニークだったため、印象に残りました。

営業の立場でよくここまで一歩引きながら言えるなあ、と感嘆しました。

初対面とはいえ、飛び込み営業でもなく、紹介からの新規提案であるため、もう少しぐいぐいいってもおかしくない。

この会社の文化がそうさせているんだと思いました。

私が以前からこの会社に好感を持っていたのも、このように相手のことを考えて接してくれるからです。

「今月以内だったらこれだけ安くなります。来月になったら、逆にこれだけ高くなります。」

なかにはこのような脅迫めいたアプローチを取る営業担当者もいます。

こういう営業に限って、顔を出すのは年末など、営業成績を上げないといけない時期のときだけということも多い。

自分都合の営業になっている。

こんなところとは付き合いたくない。

顧問先の社長もそういう思いでした。

相手のことを考えて提案しているかどうか、やはり、そこが営業の基礎なのだと思います。

「牽制しあう」

そんなのはいい。

すべて任せたいので、やってください。

そう感じた打ち合わせでした。

経営経験やコーチングの実践を通じて、深い対話により経営の選択肢を広げ、納得感のある意思決定をご支援しています。また、組織やチームの関係性を育む支援に取り組んでいます。3Cサポーター/中小企業診断士
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