0973 『教養のグローバル・ヒストリー』

『教養のグローバル・ヒストリー』(北村厚著/ミネルヴァ書房/2018年)

歴史とは面白い!と思わせてくれた本です。

グローバルヒストリーとは、「国家や民族の違いをこえて、世界中の人々が商業や文化で結びつくネットワークの歴史」(p. iii)のことです。

世界史、日本史といった分け方ではなく、世界を一体のものとして捉えています。

高校の世界史教科書をベースに、紀元前から現代までが描かれています。

「ネットワーク」として捉えていくと、いかにそれぞれの国や地域が「経済」で動いてきたのかがわかります。

貿易のためには陸や海のルートを確保したい。

求められる商品は地域によって変わりますが、それを入手するためにも主要ルートを確保したい。

アジア地域の香辛料は昔から人気があり、18世紀にはインド産の綿や中国の茶がヨーロッパ地域で人気が出ました。

そういったルートの要所を確保している国が覇権国となっていきます。

18世紀までにアジアは成熟します。

この時期からヨーロッパが成長してきます。

綿製品をインドからの輸入に頼らず自国で生産したいと考えるようになり、産業革命がはじまる。

近代化を成し遂げたヨーロッパはアジアに進出し、アジアとの不平等な関係を結ぶようになり、アジアとヨーロッパの立場が逆転します。

19世紀後半には、蒸気船航路、鉄道網、電信網が世界中で整備されることにより、さらにネットワークが強くなります。

日本が明治へと変わったのもこの頃です(1867年)。

近代化を目指す日本は、「情報収集と不平等条約改正の下準備のために」(p. 278)明治政府の主要メンバーが欧米12カ国を視察します。

電信といったネットワークが整備されているため、海外視察中でも日本へと情報を伝えることができました。

このように地域のパワーバランスが変わりながら、お互いに力をつけて競い合ってきたということがわかります。

10代のときに学校で習った世界史・日本史の断片的な情報が、このグローバルヒストリーの視点で捉えていくことで、因果関係で整理されていきます。

遣隋使・遣唐使って何だったのか、秀吉が2度にわたって朝鮮侵略を試みた意図は何か、日本はなぜ鎖国したのか、ヨーロッパ人がアメリカ大陸へ移住した要因は何か。

個々の出来事だけを見ていると、なぜそれが起きたのかわからなくなります。

グローバルで見ていくと、しっかり因果関係がある。

この点がとにかく面白かったです。

本書でざっとグローバルヒストリーを追っていくと、中国が世界の中心にいることもわかります。

歴史的に中心にいた中国ですので、欧米各国へ反発が強くなるというのも理解できます。

また、現在の米中対立を引いて見たとき、これもグローバルヒストリーの流れで起きていることであり、ページに刻まれる出来事に過ぎないんだという気もしてきます。

もう一つ感じたことは、「ネットワーク」という視点で考えるなら、日本の中心は九州だったのだろうなと。

「今は東京、以前は京都/大阪」くらいにしか思っていなかったのですが、九州からの視点でもグローバルヒストリーを見てみたくなりました。

見える景色が全く違ってくるのでしょうね。

グローバルヒストリーは面白いです。

本書は入門書としておすすめです。

経営経験やコーチングの実践を通じて、深い対話により経営の選択肢を広げ、納得感のある意思決定をご支援しています。また、組織やチームの関係性を育む支援に取り組んでいます。3Cサポーター/中小企業診断士
ホーム
記事
検索
雑記メモ