『世界経済の死角』(河野龍太郎、唐鎌大輔著/幻冬舎/2025年)

エコノミスト2名の対談本です。
河野龍太郎さんの著書『日本経済の死角』の内容に加え、世界経済に関しても唐鎌大輔さんと掘り下げています。
日本経済、トランプ政権下の世界経済、欧州経済、為替、AIなど幅広いテーマを扱っています。
率直な感想は、「ただただ読んでいて楽しい」でした。
対談形式で書かれているので、話がすっと頭に入ってきやすく、全体的に理解しやすかったです。
新書としては分厚いのですが(400ページ超)、楽しく読み通せました。
そして学びも多かったです。
お二人の考え方はバランスが取れていると感じました。
河野さんは幅広い知識と見識をお持ちなんだということが伝わってきます。
その中で、とくに印象に残った点は、現代人は「時間を奪われない自由」を失くしているのではないかという指摘です。
「河野 人類は、かつて食うや食わずの時代から、限られた時間の中で創意工夫を重ね、考えるための時間を確保しながら、徐々に豊かさを築いてきた(中略)しかし今では、私たちはスマホやパソコンのスクリーンに限られた関心と時間を奪われ、自分が興味を持った情報を自由に収集できることに夢中になるあまり”時間を奪われない自由”を忘れてしまっているのではないでしょうか。」(p. 338)
常に何かの情報の洪水に飲み込まれながらスマホやパソコンに向かっており、それは、自分の時間を奪われているとも言える。
たしかにボーっとする時間は少なくなっている気がします。
こんな指摘もしています。
「一般には『勝ち組』と見なされている人たちですら”所有の魔力”にすっかりとりつかれ、自分自身を見失うような状況に陥っているのではないか」(p. 377)
欲は際限なく、何かを得たとしても満足できず、より多くのものを得ることに集中する。
結果的に、「自由」ではなく、窮屈な生き方をすることになっているのではないか。
資本主義経済で生きている我々として、何か大切なものを忘れているのであるとすれば、そこはしっかり考えていく必要があると感じました。
数年経って経済状況が変わった頃に、またこのような対談本を出して欲しいと思います。
