『今日から始まるナラティヴ・セラピー』(坂本真佐哉著/日本評論社/2019年)

ナラティヴ・セラピーに関してわかりやすく書かれています。
ナラティヴ・セラピーは社会構成主義に基づく心理療法です。
社会構成主義を学んでいる中で、この本に出会いました。
ナラティヴ・セラピーでは、クライアントとの関係性を対等に保ちながら、対話を重視していきます。
「ナラティヴ・セラピーでは、悩みを抱えている人が語るストーリーに援助者が耳を傾けるなかで、まだ語られていないプロットをともに探索し、新しいストーリーを一緒につくり上げていくのです。」(p. 24)
そして、クライアントの問題をその人の中に求めるのではなく、その人とは切り離して外に見出していきます。
その対話を「外在化する会話」(p. 48)といいます。
問題がその人の中にあるとした場合、支援者とクライアントは対立関係になってしまいますが、問題がその人と切り離されると、ともに問題解決を進める関係を構築することができます。
「『原因は何か』を探ること自体が、問題をこじらせることにすらなります。ナラティヴ・セラピーでは、このように、不登校やひきこもりについても、それを個人や人間関係の問題と捉えること自体に異議を唱えます。」(p. 98)
この考え方は経営支援でも活用できます。
問題によっては社長が原因であると考えたくなることがあります。
そう捉えるのではなく、そうなってしまった背景や、組織文化といった外の要素に焦点を当てることで、社長とともに解決への糸口を探っていくことができるようになる。
「ともに」というところがポイントなんだと思いました。
どうやって「ともに」その問題を対処できるのか。
その関係性をどう作るかという点で、参考になりました。
本書の最後で、著者の坂本さんがこう記しています。
「自己の文化を主張するというよりも、相手の文化を受け入れることが、新たな文化の創造につながっていくことになります。その際、関係性が対等でないと、コミュニケーションが膠着したり、さらに複雑になったりするのではないでしょうか。(中略)すべての対人関係に対して、異文化体験であるという感覚で臨むことができれば、世の中はまた違った見え方になってくるのではないでしょうか。」(p. 205)
この考え方をつねに忘れないでいようと思っています。
