0856 『シッダールタ』

『シッダールタ』(ヘルマン・ヘッセ著/高橋健二訳/新潮社)

ヘルマン・ヘッセの作品をはじめて読みました。

本作品は、釈迦の出家以前の名でもあるシッダールタをモデルとし、悟りに至るまでの体験を描いています。

若い頃は出家していたシッダールタですが、川を渡ったところの町である女性に出会います。

次第に欲まみれの生活にどっぷり浸かっていきます。

しばらく経ったあと、その生活から抜け出そうと、川まで戻ります。

そこで、以前も川を渡してくれた、渡し守のヴァズデーヴァと再会します。

ヴァズデーヴァはシッダールタに、「すべては川が教えてくれる」と言います。

2人は川のそばで共に生活するようになります。

心が穏やかになり悟りの境地にいきつきそうになったとき、以前共にした女性と再会します。

2人の間でできた子どもも連れています。

女性が突然亡くなり、子どもと一緒に暮らすことになりますが、言うことを聞かない子どもに対してシッダールタの心はざわめきます。

子どもはシッダールタとの生活から逃げ出し、最終的にシッダールタも現状を受け止めていきます。

かたわらには、ヴァズデーヴァがいて、川がありました。

悟りの境地に達したシッダールタを見て、ヴァズデーヴァはその場から姿を消します。

老人になったシッダールタのもとには、多くの人が相談に来るようになります。

ある日、若い頃仲の良かった友人ゴーヴィンダがシッダールタのもとを訪れます。

沙門として長年修行を続けてきました。

再会したとき、そこには悩みが抜けきれない自分とは対照的に、聖人の域に達しているシッダールタを見ます。

優しい文章で、穏やかな気持ちになれる読書でした。

私が一番印象に残ったのは、「川が教えてくれる」という一文です。

「傾聴することを川が私に教えてくれた。おん身もそれを川から学ぶだろう。」(p. 136)

渡し守がシッダールタへ言うセリフです。

この文を読んだとき、稲妻が走ったような衝撃を受けました。

傾聴することすらも、川が教えてくれる。

素敵なセリフです。

川の流れをぼーっと見ていたくなります。

ヘルマン・ヘッセの他の作品も読んでいこうと思っています。

経営経験やコーチングの実践を通じて、深い対話により経営の選択肢を広げ、納得感のある意思決定をご支援しています。また、組織やチームの関係性を育む支援に取り組んでいます。3Cサポーター/中小企業診断士
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