『神曲 地獄篇』(ダンテ著/平川祐弘訳/河出書房新社)

イタリアの詩人ダンテが14世紀に記した作品です。
ダンテの『神曲』は「地獄篇」・「煉獄篇」・「天国篇」の3篇からなる叙事詩です。
本書は「地獄篇」で、34歌です。
主人公は35歳のダンテ本人で、古代ローマの大詩人であるウェルギリウスの導きをえて、地獄・煉獄・天国をめぐる旅に出ます。
「地獄篇」では、地獄がどういうもので、現世でどんな行為をした者が地獄へ送られるかが出てきます。
亡者として出てくるキャラクターも実在の人物ばかりです。
キリスト教や古代ギリシャなどの知識がないと理解するのは難しいのですが、各歌の最後に訳者:平川さんの解説がつくため、わからないなりに読み進めることができます。
文学作品として捉えずとも、ただのストーリーとして読んでいても面白い。
地獄がこんなにも凄惨な場所であるかっていうことが伝わってきます。
ユーモアを感じられる部分もあり、興味深く読み進められました。
ダンテの精神的な旅という意味では、地獄をまず見ることで、現世での行いに対する批判をしているような感じを受けました。
ダンテは政治活動に関わっていましたが、政変に巻き込まれ祖国から永久追放されます。
そんな不遇な境遇の中で『神曲』は出来上がります。
そんな自分を不遇な環境に追いやった周りの人たちへの怒りや悲しみも表現されているように思います。
「そんな奴らは、死んだ後に、どうぞこういう形で地獄で苦しめばいいさ」と言っているような。
地獄をめぐる旅が終わり、次は煉獄です。
煉獄とは、キリスト教の考え方で、死後にすぐ天国か地獄に行くのではなく、まだ天国にふさわしいほど清らかではないが地獄に落ちるほど罪深くもない魂が一時的にとどまり、罪を浄化してから天国へ向かう待機と浄化の空間のことです。
引き続き、煉獄をめぐる旅を読み進めていきたいと思います。
