『問いかける技術』(エドガー・H・シャイン著/英治出版)

組織開発の第一人者であるシャインさんの著書です。
「問いかける」ことの考え方や姿勢について書かれています。
「謙虚に問いかける(Humble Inquiry)」ことが軸になっています。
「『謙虚に問いかける』は、相手があなたに心を許して話をしてくれるようになったり、あなたがまだ情報を持っていないことについて誰かに質問したり、その人に対する興味と好奇心に基づいて付き合いを深めたりするための技術であり、流儀である。」(p. 53)
問いかけには4つの種類があります。
- 謙虚な問いかけ
- 診断的な問いかけ
- 対決的な問いかけ
- プロセス志向の問いかけ
謙虚な問いかけは、謙虚な態度を持ち、自分の期待や先入観をはさまず、相手に対して興味を持って行う問いかけです。
良好な人間関係を築くこと、円滑なコミュニケーションを行うためには必須の問いかけ方法です。
謙虚な問いかけはチームづくりでも有効です。
初期段階は人間関係を築いて行く必要があります。
謙虚な問いかけを行うことで自分の立場を相対的に低めることで、相手も心を開きやすくなり、お互いの信頼関係が築きやすくなります。
そこには「個人的なつながりを持つ」ということも含まれます。
地位や肩書きなどがあることで距離が縮めにくいケースがありますが、その隙間をどう埋めていくかが大事になります。
自分が相手より上の立場であった場合、謙虚な問いかけをすることは自分の立場を低めることにつながるため、相手と同じ目線に立ちやすくなります。
「かぎになるのは、『謙虚に問いかける』を実践し個人的なつながりを持つことによって、自らをあえて弱い立場に置く方法を学ぶことである。(中略)難しくても実践することが必要不可欠である。あなたが自分をさらけ出し、あえて弱い部分を見せることは、人との付き合いを深めていくうえで、もっとも重要な要素である。」(p. 156)
興味深い点として、謙虚に問いかける態度を育てるために自分のアーティスト性を発揮することが大事であると述べられています。
「現代のように複雑さが増してくると、仕事は形式的な官僚制の組織モデルに当てはめるのではなく、即興で演じる芝居やジャズバンドになぞらえて進めるべきだという認識が高まっている。工夫してなにかを生み出す。これに代わる創造的行為はない」(p. 197)
何かを書く、美術館に行く、他の文化に触れる。
多様な見方に触れることが自分を豊かにするだけでなく、相手の理解にもつながるということでしょう。
即興のような関係づくり。
こういう概念は私には新鮮でありつつ、自分が演技を学んできたこととのつながりを感じられる部分でもあります。
こういうところに演技論が活かせるのではないかと感じました。
とても良い本で、学びや気づきも多くありました。
ともすると「わかったつもり」になりやすいテーマでもあるので、何度も読み返す必要があると思っています。
