『シン・日本の経営 悲観バイアスを排す』(ウリケ・シェーデ著/日本経済新聞出版)

1月7日の日経新聞に著者の論考が載っており、内容が興味深かったため本を読むことにしました。
著者はカリフォルニア大学サンディエゴ校教授で、日本企業の研究をしています。
著者によると、日本企業はグローバルでも力強いと力説します。
「失われた30年」、「生産性の低さ」など、国内では日本企業が停滞しているニュースばかりが流れます。
日本企業は以前のような元気がないといったイメージもあります。
それは「悲観バイアス」であり、実際は力強く変革しているのだと。
日本企業は400を超える市場で圧倒的な世界シェアを誇っています。
「日本企業は力強く、機敏で、賢い新タイプのプレイヤーとして再浮上している。世間の製造やインフラ・システムに欠かせない多くの中間財や市場で、世界リーダーとして復活を遂げつつある。」(p. 9)
「失われた30年」というのは、変革に30年を要してきただけで、表面上見えてこなかったために「失われた」という認識になっているというのが著者の見方です。
「1990年代から2010年代にかけては『失われた時代』でも『停滞した時代』でもない。むしろ、ある種の思春期のようなもので、日本の産業構造が大きく変わるシステム転換期といえる。」(p. 41)
収益性の高い企業には7つの共通点があるとしています。
- 利益
- 戦略
- 危機意識
- 効率性
- 情報の透明性
- リーダーシップ
- 幸福感
そして、企業が長期的に生き残るためには「新しい技術」や「新しい市場」を常に探索する必要があります。
この部分は中小企業支援において参考になる考え方だと思いました。
日本が米国の企業と比べてスピード感が遅いと感じることがあります。
これは文化的なものであり、日本は「タイトな文化」(ルールと正しい行動が求められ逸脱する人にはあまり寛容ではない)であるためスピードも遅くなる。
良い面としては、安定性があり、安全で、比較的平等を重んじる傾向があることです。
米国のようなイノベーションには繋がらないかもしれないが、科学的・工学的な課題に取り組む発明である「ディープテック」を用いたイノベーションには向いているかもしれない。
つまり、日本企業に合った戦略があり、外から見ると変化が見えにくいがしっかり変革しているということです。
本書を読んでいると前向きになります。
今までいかに悲観的な情報を浴びせられてきたかということも感じることができます。
日本の外から見て、日本の良さを指摘している。
ひとつの捉え方として参考になりました。
