『新・生産性立国論』(デービッド・アトキンソン著/東洋経済新報社)

「生産性」という言葉はテレビでも新聞でも、経営支援においても、よく出てくる単語です。
生産性の大切さは認識していましたが、深く考えることはありませんでした。
昨年末にある米国の経営者がインタビューの中で「生産性」という言葉をしきりに使っていたのを見て、米国では生産性はそこまで大事な概念なんだなと興味を覚えました。
生産性とは何かを考えたいと思っていたときに、本書を見つけました。
著者のデービッド・アトキンソンさんはよくテレビに出ていますが、説得力があるため耳を傾けたくなります。
日本は生産性が低いと言われています。
生産性とは、企業活動の場合、付加価値を従業員数で割ったものになります。
付加価値とは、売上から他社への支払いを引いたものになります。
「付加価値≒粗利」と捉えていたのですが、厳密に言うと、粗利から他社への支払い(外注費、リース代、家賃など)を引いたものが付加価値になります。
つまり、自社単独でどれだけの価値を生み出したか、を見ていくことになります。
日本はすごい勢いで人口が減っていくので、今のままではGDPも縮小していく。
GDPを維持しなければいけない理由を2つ挙げています。
1つは、高齢者が増えていくため社会保障費も増えていくためです。
もう1つは、国の借金が多いためです。
労働力が下がっていく中でGDPを維持するためには、生産性を上げるしかない。
企業は付加価値を上げないといけない。
付加価値が上がらないと社員の給料も増えない。
日本の労働者の質は世界的に見ても高いといいます。
それなのに生産性が低いのは経営者が無能だからだと。
こんな厳しい表現が出てきます。
「世界に誇れる優秀な労働者がいるにもかかわらず、この体たらくはいったいどういうことなのでしょう。この体たらくを招いた責任は、ひとえに日本の経営者にあります。彼らの無能っぷりは、もはや奇跡的としか言いようがありません。」(p. 175)
耳が痛い・・・。
以前経営していたときのことを考えると、私は「無能」でした。
国がやるべき政策としては、最低賃金引き上げが出てきます。
「最低賃金を上げることがもっとも効果的です。(中略)生産性の低い企業に強制的に生産性を上げる経営戦略を考えさせることができるのです。」(p. 244)
確かに、最低賃金が上がってくると、それを補うだけの付加価値を出していかないと経営が厳しくなります。
本書は2018年に発行されていますが、6年経った現在では最低賃金が少しずつ上がっています。
良い流れということですね。
本書を通して、生産性に関して考える機会になりました。
中小企業へのご支援の際には、「付加価値・生産性向上」を常に忘れないようにすると肝に銘じたいと思います。
