『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール著/日本経済新聞出版)

投資に関する本です。
1973年の初版以来、全米累計200万部を超え「投資の名著」とされています。
本書を貫く考え方は、「インデックス投資が最適」ということです。
インデックス投資は、特定の市場全体の動きを示すインデックス(指数)に連動するように運用される投資手法です。
ロジックはこんな感じです。
株式は個人または機関投資家により売買されており、全体で見ると市場平均のリターンを受け取ることになる。
インデックス投資は市場と同じポートフォリオを持つことになるため、同じリターンを受け取る。
市場とは異なるポートフォリオで運用する投資家もひとくくりにすると市場平均と同じリターンを受け取ることになる。
どちらも市場と同じリターンだが、インデックス投資に比べて他の投資方法は手数料が高くなるため、その分だけ利益は下がる。
よって「インデックス投資が最適」となります。
「プロのファンド・マネジャーの約三分の二は、毎年単純なインデックス・ファンドよりも低いリターンしかあげていない」(p. 10)
「個々のファンド・マネジャーは精力を傾けて運用するのだが、誰かが売ったものを誰かが買っているわけで、マネジャーを全部合わせるとそれらは相殺されてしまい、売買コストと運用手数料の分だけパフォーマンスが悪くなる。(中略)機関投資家のファンド・マネジャーは、グループとしては市場平均に負ける仕組みになっているのだ。」(p. 474)
なぜ他の投資方法がインデックス投資に勝てないのか、さまざまなデータを示しながら解説しています。
17世紀オランダのチューリップバブルから、インターネットバブル、住宅バブル、仮想通貨バブルなどバブルも考察しています。
テクノロジーに関してこう指摘しています。
「世の中を大きく変革することが期待されて時代の注目を浴びるような新テクノロジーには、絶対に老後のための蓄えを投入してはいけない。人気を博している最先端のテクノロジーは、投資の対象としては決して報われずに終わることが多いのだ。」(p. 141)
現在はAIバブルとも見られる状況ですが、長期的に見てAIは投資対象としては報われないのでしょうか。
興味深いところです。
個人的には、分散投資とリバランスが気づきとなりました。
分散投資の大切さはどこでも言われていることですが、本書でも強く推奨しています。
2000年代の米国は低迷期でした。
米国株で運用していた人は大きな損失で終わりました。
しかし、米国株式だけでなく幅広い国際分散投資を行っていた場合には満足できる結果が出ていたそうです。
そのくらい分散投資はリスク低減につながる。
そして、定期的にリバランスもしていくことも大切だといいます。
「リスクを減らし、状況次第ではリターンを高めることができる。このテクニックは、異なるアセット・クラス、例えば株式と債券に投下されている資金割合を、年齢やリスク選好、あるいはリスク許容度に最もふさわしい割合に微調整するだけでいいのだ。」(p. 444)
確かに、分散投資として資金を一定割合で積み立てていても、しばらくすると所有割合は変化します。
この割合をあらかじめ決めていた割合に戻すということを今まで考えていなかったので、本書からの学びのひとつとなりました。
インデックス投資が最適であるのなら、なぜ多くの投資家は日々の値動きに一喜一憂しているのでしょうか。
長期でコツコツとインデックス投資をしていればいいのにと思います。
資産形成のためにお金を他人に預けて運用してもらうということの滑稽さも感じます。
ただ、そこには人の持つ欲深さが大きく横たわっているということでもあり、それがまた興味深いところでもあります。
