『人を助けるとはどういうことか』(エドガー・H・シャイン著/英治出版)

毎月参加している勉強会の課題図書『経営の力と伴走支援』(角野然生著)の中で紹介されていた本です。
来月の勉強会では私が発表担当のため、参考のために読みました。
本書での「支援」とは、職業としての支援以外にも、家族や友人などへの日常的な支援(ヘルプ)も含まれます。
支援する状況では、支援者と支援を受ける側(クライアント)には本質的な不釣り合いがあるといいます。
特に支援当初はお互いの信頼関係ができていないため、クライアントは支援者より「一段低い位置」になる。
「自立した人間とは、支援を求める必要がない人を意味する。たびたび支援を求めなければならないと、屈辱を感じるのである。」(p. 64)
支援者側は「一段高い位置」から始まります。
お互いの関係は対等な状態ではなく不安定となります。
「クライアントは一段低い位置にいるため、力が弱く、支援者は一段高い位置にいるため、強力である。支援のプロセスで物事がうまくいかなくなる原因の大半は、当初から存在するこの不均衡を認めず、対処しないせいだ。」(p. 69)
ここで大事になるのは支援者からの「純粋な問いかけ」です。
「純粋な問いかけ」とは、相手の考えや感情を引き出すことを目的としており、支援者の意図を一切挟まない問いかけです。
相手に寄り添いながら質問するということですね。
これがあることで、クライアントの心が開きやすくなり地位も高くなることで、支援者との関係を対等な状態にできます。
また、支援者はクライアントの状況がわからないと適切な支援ができませんが、「純粋な問いかけ」により正しい情報を最大限得られるという効果もあります。
そして、支援者の役割として3種類が挙げられています。
- 専門家:クライアントが必要としている具体的な知識やサービスという形で支援を与える
- 医師:クライアントの状態を診断し、処方薬や専門的なサービスを与える
- プロセス・コンサルタント:公平な関係を築き、どんな支援が必要か明らかにする
支援していく過程でこの役割は変わりますが、はじめはプロセス・コンサルタントの役割を推奨しています。
コーチングやカウンセリングでの傾聴に近いです。
「もっと多くの情報を得られるまで、あなたの専門的知識や診断スキルがその状況に適切かどうかわからない。」(p. 239)
本書で一番印象的だった部分は、クライアントは「一段低い位置」からはじまるということです。
案外ここは忘れてしまうポイントです。
まずは支援者とクライアントの立ち位置を対等にするところからはじめる必要がある。
忘れないようにしたいと思います。
