『THE HEAT WILL KILL YOU FIRST』(Jeff Goodell著/Little, Brown and Company)

本書は、地球温暖化による熱波が人体へ与える影響や地球規模で与える影響などを、著者個人の体験なども交えながら伝えています。
欧米の雑誌で紹介されていて興味を持ちました。
日本語には翻訳されないだろうと思い原書で読みました。
HEAT(熱波/灼熱)の怖さが伝わってきます。
熱波により心臓発作などを引き起こすことや、死に至ることの危険性を伝えています。
日本では夏になると熱中症による脱水症状や意識障害といった症状をよく聞きます。
心臓発作ってあまり聞かないため、熱波で心臓発作を誘発するということを初めて知りました。
心臓発作には十分な水分補給だけでは不十分で、体を冷やすことが大切のようです。
建築様式に関しても述べられています。
パリの伝統的な建物の屋根には亜鉛が使われています。
熱を吸収しやすく室内温度の上昇を招く恐れがあります。
2003年にヨーロッパで大規模な熱波が襲い、フランスでは15,000人以上が亡くなりました。
パリの伝統的な建物が影響したと言われています。
建物が建てられた時代には気温がここまで高くなかったため問題にはならなかったのですが、温暖化時代には不向きな特徴となっています。
とはいえ、このような伝統様式を守りたいという気持ちがあることも理解でき、どう現代の気候に適応させていくかも課題となっています。
著者の自然での体験のエピソードも書かれています。
ハイキング中に灼熱で体調に変化が起きたこと、海氷が縮小している北極で狩が難しくなっている北極熊に遭遇したことなど。
このようなエピソードを交えながら書かれているので、ストーリーとして温暖化の影響を理解できますし、感情も揺さぶられます。
著者が最後にこう記しています。
「あなたを動かすもの、あなたが美しいと感じ、心を動かされるものが何であれ、今しっかりと目に焼き付けておいてください。それは長くは存在しないかもしれないのです。」(p. 327)
(”Whatever moves you, whatever you find beautiful and inspiring in your world, take a good luck at it now, because it might not be there for long.”)
目の前にある自然や当たり前と捉えている日常は、今だけかもしれない。
気候変動の影響を過小評価すべきではない。
今あるものへの感謝、これが続かない可能性があることのリスク、それに対して何ができるのか。
そういったことを考えさせられる本でした。
