『Nexus』(Yuval Noah Harari著/Penguin Random House)

『サピエンス全史』著者のハラリさんの新刊です。
日本語訳は2025年2月に刊行予定なのですが、待ちきれなかったので原書を読みました。
本書では、どう情報を取り扱うかという視点で歴史を紐解きながらAIを考察しています。
情報の取り扱い方は政治体制でも異なってきました。
民主主義体制では情報ネットワークと自己修正機能も持ち合わせています。
一方、全体主義体制では中央に情報が集中し、自己修正機能も弱いという特徴があります。
AIの取り扱い方でも、政治体制による違いが出てくることは考えられます。
情報の取り扱い方は技術革新でも変化してきました。
例えば、一部に留まっていた情報が印刷機の発明により多くの人へ情報を伝えることが可能となりました。
AIで情報の取り扱い方はどうなっていくのか。
AIはこれまでの技術革新とは決定的な違いがあるとハラリさんは指摘します。
それは、AIには「自己判断能力」と「アイデア生成能力」が備わっており、ただの道具ではなく「主体(エージェント)」としての性質を持ち合わせているからです。
このことはAIの脅威という論点にもつながります。
AIの開発を各国が進めています。
それぞれに独自のAI技術の開発を進めることで、異なるネットワークが存在することになる。
その独自AIをどう扱っていくかはその国の方針になってきます。
もしどこかの国(または組織)がAIを世界破壊につながる使い方をしたらどうなるのか?
AIをどう管理していくかは課題となっています。
キーワードのひとつは「自己修正機能」です。
民主主義体制は自己修正機能を持っているからこそ、過ちを修正しながら発展できてきました。
AIを管理する際にも、この自己修正機能をどう持たせるかが重要だと本書では指摘します。
ハラリさんの本は面白い。
「情報の扱い方」という観点で歴史を紐解きながらAI時代を考察している。
示唆に富んでおり、いろいろ考えさせられる本でした。
