『ワイルドランド(下)』(エヴァン・オズノス著/白水社)

米国はなぜここまで分断してしまったのか、を知りたくて本書を読みました。
トランプ支持はどこからきているのか。
社会の分断はどこからきているのか。
自身のゆかりの地である、コネチカット州グリニッジ、ウィスコンシン州、イリノイ州シカゴの3つの街に暮らす人々を取材し、人々のストーリーをつなぎ合わせていきながら、それらの問いに迫っていきます。
上下巻あるうちの下巻です。
2020年の大統領選でトランプがバイデンに負け、翌年1月の議会襲撃事件までを追っています。
読了後の感想としては、著者は反トランプなんだろうなと。
反トランプ側とトランプ支持側の両方に取材をして、ある程度中立的な見方を残してはいます。
ただ、後半になるにつれて、トランプの横暴さが際立つ描かれ方がされています。
逆に、中立的な視点を保った上で、少しトランプ支持をしている人の本が読みたくなりました。
また見える景色が変わるのでしょうね。
とは言え、米国の分断は深刻であり、本当の意味で中立的な視点で見ることができる人は少ないのが現実なんだと思います。
2020年の大統領選挙結果に対して著者はこう述べています。
「国民はトランプや彼の価値観に対して断固たる拒否を示したわけではなかった。むしろ選挙結果が表していたのは、修復できないほど国民が分断されていることだった。」(p.310)
4年後の今年にトランプが大統領選を制しました。
米国ではトランプ寄りの価値観への支持が根強いということが証明されました。
バーバラ・F・ウォルターの『アメリカは内戦に向かうのか』を思い出しました。
上位階級にいた人たちが、その地位を奪われると感じたとき、それは大きな怒りと不満になり暴力にも発展すると指摘します。
米国の白人労働者層は相対的に地位が下がったと感じることで、怒りや不満が大きくなっており、バイデンの4年間でそれは解消できず、未だに根強いトランプ支持につながっているのではないかと思いました。
アダム・トゥーズの『暴落』と一緒に読むことで、いかに2008年の金融危機が社会に大きな影響を与えたのかが理解できました。
金融危機により、人々の生活は苦しくなり、エリート層に対する怒りと不満が噴出し、それを代弁するトランプを支持する人が増え、社会は分断された。
右傾化も進み、多様性・公平性・包摂(DEI)への反発と再定義も見られる。
もちろんそれ以外の要因はあるとは思いますが、それくらい金融危機ってすごいことなんだなと。
その大きさに圧倒されました。
今後はこのテーマに加え、資本主義に関しても考えていきたいと思っています。
