『ムハマド・ユヌス自伝(上)』(ムハマド・ユヌス、アラン・ジョリ著/早川書房)

グラミン銀行を創設し、ノーベル平和賞を受賞し、現在はバングラデシュの暫定政権を率いているムハマド・ユヌスさんの自伝です。
どのような思いや考え方をされているのか知りたくて本書を手に取りました。
貧困者の自立支援に力を入れてきたユヌスさん。
どのような経緯でグラミン銀行が立ち上がってきたのかが書かれています。
上下巻あるうちの上巻です。
読んでいて感じたのは、ユヌスさんは若いときからしっかりとした信念を持っている方だったんだなと。
自分の信念と違うことであれば臆することなく主張するし行動に移す。
信念を曲げてまで他人におもねるということがないという印象を受けました。
大学の教授をしていたころ、周辺の村には貧困で困っている人たちが多くいました。
そういった人たち、特に母親であり妻でもある女性のもとへ学生と共に訪れ少額のお金を貸すという活動を始めます。
お金を貸す相手は女性に限定し、女性の成長も重視します。
「私たちは女性たちが自らグループを組織し、自らの手でローン計画をたてることこそ大切だと考えている。私たちは自覚を強めたり、リーダーシップを育てるというようなことが、クレジットを交付するよりも先に行われるべきだと思っている。」(p.234)
貧困で困っている人への援助の仕方として、お金を渡すことは違うと言います。
「どんな場合でも、施しは金を受け取る者の尊厳を奪い、収入を得ようとする意欲をも奪い去ってしまうのだ。」(p.72)
大事なのは、その環境から自分の力で脱することができるよう支援していくこと。
ユヌスさんは、理論ではなく現実を重視し、自ら動くことで課題を解決していくという方なんでしょうね。
そんなユヌスさんのこんな言葉が印象に残りました。
「私がコンサルタントに対して不満を持っている理由は、私たちのもとによくやってくるコンサルタントというのが、まるで、それまで一度もフットボールをやったことがなかったり、試合すらも見たことがないのに、フットボールのコーチをやっているような人だったからだ。」(p.55)
開発であれ、ビジネスであれ、助言をする「コンサルタント」は、頭で考えているだけでなく実体験が必要ということですね。
引き続き下巻を読み進めていきます。
