『悪い円安 良い円安』(清水順子著/日経BP)

最近では円安が進行し1ドル=160円台も当たり前のように見るようになりました。
現在は少し戻し1ドル=140円台で推移しています。
「円安」に関して理解を深めたいと思い、何冊か読むことにしました。
本書はそのうちの1冊です。
急激に円安が進行し始めた2022年に本書は出版されました。
円安が進行した背景を解説しています。
輸出企業にとって円安は良いことだ、という見方もあります。
ただ、「悪い円安」もあります。
その中でも、日本企業がドル建てで貿易を行っていることが「悪い円安」として影響すると指摘しています。
「日本企業は円建てではなく、相手国通貨建てで貿易し、為替の変動で非常に苦労してきた結果、為替に左右されない体制を築いたことが、今回の円安のメリットを享受できずに『悪い円安』となった背景といえるだろう。」(p.105)
日本は他の先進国と比べても、自国通貨建ての決済が多いといいます。
日本企業の輸出でドル建てが多い理由が2点挙げられています。
- 海外現地法人との企業内貿易をドル建てに統一し、本社財務部がまとめて為替リスクを管理しているため
- 現地の販売価格を安定化させる行動(PTM行動)を取っているため
その上で、円安が進行している今だからこそ円建てを増やす好機でもあるといいます。
「長期的に見れば今後また円高になる可能性もある。そういった為替変動リスクを避ける点でも、現在のような円安で、相手国が円を安く入手でき、円建て輸出を交渉しやすい時期に円建てを増やしておくことは、将来の円高対策としても重要だ。」(p.190)
そして、今のような円安を最大限に生かす政策として3つ挙げられています。
- インバウンドの取り込み
- 越境EC
- 外資の国内誘致
2024年現在、インバウンドも増え、越境ECに取り組む事業者も増え、半導体関連の工場を誘致するなど、この3つへの取り組みも進んでいるという印象を受けます。
こういった取り組みがどういう形で日本経済にプラスになっていくのか楽しみです。
気になったのは、外資系企業が日本国内で事業展開するにはハードルが高いという指摘です。
人材確保が難しい、人件費が高い、税負担、英語でのコミュニケーションが難しいなど。
報酬を高く設定できれば人の面はある程度クリアできそうですが、言語や文化の面では課題も多いでしょうね。
地政学的要因などからサプライチェーンの再構築という流れもある中、日本が事業展開の場として選ばれるような環境づくりも大切ということですね。
引き続き「円安」に関する本を読んで為替の理解を深めていきたいと考えています。
