『変容するインドネシア』(小川忠著/めこん)
昨年から気になっていた国、インドネシア。
ジョコ・ウィドド大統領が国民的人気があるという記事を読んだことや、ジャカルタからの首都移転、1万を超す島で構成されていること、お気に入りのコーヒーがインドネシア産のトラジャであることなど、興味は尽きません。
一度訪れてみたいと思っていたときに、中小企業診断士の集まりで、今年5月にジャカルタへの研修旅行があるという案内がありました。
こういう機会はなかなかないと思い、参加することにしました。
研修旅行へ行く前にインドネシアのことを学んでおきたいと思い、本書を手に取りました。
本書は2023年12月に刊行されており、インドネシアの「現在」を知るには最適です。
経済成長が著しく、2050年にはインドネシアのGDPが世界4位にまでなるという予測もあります。
そんな成長のエネルギーに満ち溢れ変化の大きい国ですが、本書では「イスラーム化」と「デジタル化」に焦点を当てます。
異なる宗教や多民族との調和が図られている寛容な国というイメージがありますが、少しずつ「非寛容化」が進んでいると指摘します。
「この社会の伝統的な習合力が衰退しているのではないかと感じざるをえない状況が近ごろ目につく。」(p.44)
そして、デジタル化も進んでいます。
特に若い層はデジタルにも強く、そのツールで市民運動を展開し民主主義を支えているといいます。
本書では、この「イスラーム化」と「デジタル化」の社会変化の中でインドネシア各地(西部ジャワ、中部ジャワ、東部ジャワ、バリ、アチェ、中部スラウェシ、パプア、東ヌサ、スマトラ、首都移転先であるヌサンタラなど)がどのような状況であるかも紹介されています。
各地域の特徴や文化などを見ていくと、インドネシアが多様性のある国であることが理解できます。
この中で、西ジャワ州の州都であるバンドンの取り組みが気になりました。
若い世代を中心に、デジタルとアートを織り交ぜて地域を活性化させる取り組みを行っています。
「創造都市」という文化政策をバンドン市長のリーダーシップをもとに行われているようです。
どのような都市の形で、そこに住んでいる人たちがどういったエネルギーを持っているのか、大変興味を覚えました。
インドネシアというと「発展途上国」というイメージがありますが、成長度合いも高いですし、恐らく人々や街の持つエネルギーも日本とは違うのだろうなと想像します。
本書を読んでいて、インドネシアのイメージを変えていかねばいけないなと思いました。
社会全体が大きく変化している中で、人々がどういった生活をしているのか、実際に訪れて実感してみたいと思っています。