『アメリカはなぜ戦争に負け続けたのか』(ハーラン・ウルマン著/中央公論新社)
戦後半世紀以上にわたり、アメリカが戦争や武力介入が失敗し続けてきた理由を分析した本です。
1960年代からトランプ政権までの対外政策をたどりながら、どういったところに問題があったのかを指摘していきます。
著者は長年にわたって歴代の政権へアドバイスしてきた人です。
優れた判断をしていくためには「健全な戦略的思考」が欠かせない。
「健全な戦略的思考」には3つの要素から成り立ちます。(p.294)
- 問題とその解決策についてのあらゆる側面からの完全な知識と理解
- 20世紀ではなく、21世紀の現実に基づいた思考法
- 現実の、また想定上の敵の意思と認識に影響を与え、コントロールすること
歴代の政権が失敗してきた要因は、この「健全な戦略的思考」が欠如していたことであると。
そして、何より、大統領の資質と経験不足にあると著者は指摘しています。
本書を読んでいて、アメリカを率いる指導者は本当に求められることが大きいということを感じました。
たとえ周りに優秀な人材を配置していても、最終的にはトップの「資質」と「経験」が大事になる。
企業運営でも同じことは言えますよね。
著者から見て「資質」と「経験」を兼ね備えた指導者となり得る人物はいるのだろうか。
2024年春の状況を見たときに、著者の目にはどう映るのだろうか。
知りたくなりました。