経済産業省から新たな資金繰り支援として、保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度の創設が発表されました。
多くの中小企業が活用している信用保証制度ですが、信用保証付融資の7割で経営者保証がついています。
この状況を変えるため、一定の要件を満たしていれば、保証料の上乗せにより経営者保証の提供が不要になります。
今年3月から開始予定で、3年間の時限措置として保証料の軽減もあります。
経営者保証を取らないようにするという国の方向性がある中で、実際は経営者保証が求められるケースも多いです。
今回の対策により、多くの経営者の精神的負担が軽くなると期待できます。
対象となる要件が5つあります。
① 過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において貸借対照表、損益計算書等その他財産、損益又は資金繰りの状況を示す書類を当該金融機関の求めに応じて提出していること。 ② 直近の決算書において代表者への貸付金等がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。 ③ 直近の決算において債務超過ではない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと。 ④ 上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。 ⑤ 中小企業者が保証人の保証を提供しないことを希望していること。 *「保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度(制度概要)」より(一部修正)
健全な経営をしている中小企業は当てはまりますが、多くの中小企業はこの要件を満たせないかもしれません。
債務超過になっている中小企業も多いですし、代表者への貸付を行っている中小企業も多い。
一番苦しい中で経営している人たちほど対象にならないという現実があります。
ただ、経営者保証を取らないという流れとしては、大きな一歩だと思います。