0301 『現代気候変動入門』

『現代気候変動入門』(アンドリュー・E・デスラー著/名古屋大学出版会)

「気候変動」に興味があり、基礎知識はしっかり身につけたくて本書を手に取りました。

著者は気候科学者で、気候変化の科学と政治の両面を研究しています。テキサスA&M大学の教授でもあり、原書は講義のテキストにもなっています。

前半は地球温暖化を科学的側面から解説しており、後半は経済や政治の社会システムを考慮しつつどう対策を講じていくかが述べられています。

なぜ地球が温暖化しているのか、どのようなメカニズムが働いているのか、なぜ二酸化炭素なのか。

私は理系ではないので物理は理解しづらいのですが、本書はとてもわかりやすく解説されているので、すんなり理解できました。

本書をじっくり読み進めると、多くのデータ・研究・議論の蓄積の上に世界が「気候変動」への取り組みを進めていることがひしひしと伝わってきます。

「気候変化に関する科学は新しいものではなく、その多くは1世紀以上前のものであり、時の試練に耐えてきたものです」(p.302)

地球温暖化への懐疑論もありますが、それに対する反論も書かれています。

まずは世界が「正しい」という合意がなされている基礎知識を押さえることが大事ですね。

中途半端な知識のまま懐疑論を聞くことの危険性を感じました。

気候変動に対してどう対応していくのか。

温室効果ガスの排出量をどう抑えていくのか。

いろいろな取り組みがある中で、最も重要な政策は「大気中への温室効果ガスの排出に価格をつけること」(p.249)のようです。

炭素税と排出権取引制度の2つが主要な政策になります。

これらの政策の成果は、「(1)市場を気候に対して安全なエネルギー源に向かわせ、(2)エネルギーの節約を奨励し、(3)気候に対して安全な新しい技術の革新を促進すること」(p.250)です。

今後はこのあたりを深掘りしながら、日本を含む各国がどのような政策を取っているのかを見ていこうかと思っています。

地球温暖化のメカニズムが理解できたこと、人間が化石燃料を燃焼し始めた時期から急激に気温上昇していること、今行動に移さないと取り返しがつかなくなることなど、本書を通して多くの学びがありました。

気候変動に関して基礎から学ぶには大変良いテキストだと思います。

35歳のときに40年以上続く会社を後継者として 事業承継を行い、6年間代表として経営に携わりました。代表を退任後は、中小企業の事業承継を支援しています。中小企業診断士/ビジネスコーチ
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