中小企業診断士協会主催のセミナーを受講しました。
第一生命経済研究所首席エコノミストである熊野英生さんを講師に、「日本経済の展望〜物価上昇にどう臨むか〜」というテーマでお話を伺いました。
日本経済、世界経済、物価対策、企業収益、日銀など要点をわかりやすく説明していただきました。
熊野さんによると、2024年のテーマは「値上げ・賃上げ・利上げ」になるとのことです。
大企業を中心に賃上げが進み始めているという印象があります。
ただ、大企業の収益は増えていますが、収益の伸びほどに賃金が上がってはいないようです。
日本人労働者は外国ほどストも行いませんし賃上げ圧力も弱い、と熊野さんは指摘しています。
現在の賃金で我慢してしまっている。
そのため経営者は上がった収益ほど賃金を大きく上げるということにはならないと。
「値上げ」と「賃上げ」は私も興味を持っているテーマです。
ご支援しているお客様(中小企業)でも、価格転嫁をどのように行っていくかが大きな課題になっています。
物価上昇や為替の影響もあり、仕入れ原価が上がっており、運営に伴う経費もじわじわ上がってきています。
それらをどう価格に乗せていけるか。
お客様が離れる恐怖感を感じながらも、どこかで思い切って値上げをしていかなければ会社が回っていきません。
これと並行して考えないといけないのが、賃上げです。
社会的に賃上げの風潮が出ていても、賃上げをする余裕のない中小企業は多いです。
中小企業の6割は赤字ですからね。
それでも社会的圧力が強まってきますし、賃上げしていかないと人材が集まらなくなります。
そうなると、物価上昇分以外にも賃上げ分も価格に転嫁していかないと、どんどん会社の経営は厳しくなる。
価格転嫁が進み収益が上がっているのに賃上げが不十分な大企業と、賃上げしたくても値上げもできず収益の出ない中小企業。
熊野さんの講演を聞きながら、私の支援先の状況を重ねていました。
日本全体のことを考えると、今は良い方向へ転換できるチャンスだと思います。
日本全体の従業者の7割を占める中小企業が賃上げを考慮した価格転嫁ができるかどうかがポイントになります。
中小企業の現実は厳しいものがあります。
そこをどう乗り越えていけるか。
私自身もどう伴走支援できるか真剣に考えていかねばと思いました。