今朝の日経新聞で「ダイナミックプライシング(変動価格)」に関する記事がありました(「広がる『価格変動』、消費者不満も」)。
ダイナミックプライシングとは、需給に応じて商品やサービスの価格を変える手法です。
ホテルなどでよく見かけます。連休などニーズが高いときは価格が高く、平日など閑散期のときは価格が低くなります。
様々な業種で広がっており、スーパー、飲食店、交通関連、駐車場、美容室などでも見られます。
この記事の中で、「価格に敏感な消費者が値上げを受け入れず、反発を招く事例も相次ぐ」と指摘しています。
日本は今まで値下げによる価格戦略を取る事業者が多かったため、消費者の値上げに対する抵抗感も高くなります。
消費者は利益より損失に敏感になります。同じ額の利益(値下げ)と損失(値上げ)なら、損失への不満をより感じるようです。
多くの人はあちこちのスーパーを回ってできるだけ安い商品を購入しようとします。A店でレタスが110円、B店が100円なら、多少時間かかってもA店の帰りにB店へ立ち寄る。
この10円の差を求めて、時間と労力をかけます(実際は他にも購入しているので差額は大きくなりますが)。
B店へ立ち寄るのに15分多く時間を要するとしたら、この15分はその人にとってどのくらいの価値なのか。10円以上の価値にならないのか? 車で移動する場合、その移動距離分のガソリン代を考えると10円以上にならないのか?
時間や移動コストの要因があっても、この10円の差のために人は行動します。それは、損失に対する感度が高いからなんだと思います。あっちの店では10円安いので、ここで購入すると10円損をするということが悔しいのです。
この気持ち、かなりわかります。
私はビールが大好きでよく購入しますが、同じ銘柄がお店によって10〜20円の開きがあるとどうしても気になります。徒歩2分の高いお店ではなく、車で15分の安いお店で購入するようにしています。
先ほどのダイナミックプライシングでも、自分が購入したタイミングよりあとから安くなると気持ち的にはザワザワすると思います。
ネットショップで「ポイント〇倍」というキャンペーンが打たれます。購入した日の数日後にそのキャンペーンがあったときには、ガックリきます。
以前、5万円前後するあるものをネットショップで購入手続きしました。価格が高いためポイント還元額も高くなります。ちょうどこの翌日にポイントが倍になるキャンペーンがあることを知りました。先ほどの注文はまだキャンセルが可能であったためキャンセルし、翌日に再度同じ物の購入手続きをしました。ポイント還元として数千円分得しました。
でも、これって、キャンペーンを知らない人はすごく損をしたことになりますよね。
消費者がどう納得感を得られるか。
価格を変更する際には慎重に考えていきたい視点です。