美術館ではゆっくり目を通しながら、「これだ!」と思った作品を気が済むまで見るのが好きです。
周りの動きにまどわされたくない。
理想はそうなのですが、実際は難しい。
『クロード・モネ ― 風景への問いかけ』(アーティゾン美術館)に足を運びました。
一番好きな画家なので楽しみにしていたのですが、睡眠不足が続いていることもあり、もうろうとしてあまり集中できませんでした。
学生時代にモネが好きになりました。

とくに水面に映る景色の絵に惹かれます。
水面を通して向こう側の世界が垣間見え、「見ている世界」と「見えていない世界」の両面があるようで心が動かされます。

この作品の前で『美術の物語』(ゴンブリッチ著)の一文を思い出しました。
「昼の日射しがいっぱいに当たる戸外では、たとえ立体的な物でも、色のついた布きれのように、平たくしか見えないことが実際にあるのだ。」(p. 393 ポケット版)

近くで見るとただの線なのに、遠くから見るとしっかりした全体の一部となる。
いつ見ても不思議な感覚になってきます。
薄暗い館内で、2日酔いのあとのようにフラフラしながら歩いているとき、視界が晴れるような瞬間がありました。

雪の中で、かささぎが、そっと留まっている。
かすかに「あー」と口から漏れました。
かささぎと同じようにその場にいたくなりました。
ある著名人は出張で地方へ行くと、時間がないなか急ぎ足で美術館をまわる。
さっと見ていき「これだ!」という作品をじっくり鑑賞するのだそうです。
さっといこうが、じっくりいこうが、自分に響くものは出てくる。
今回は睡眠不足という体調的なもので、若干「さっと」になったのですが、たしかに目に留まるものがありました。
さっとの出会いもいいかもしれない。
