仕事が閑散期のためWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を堪能できました。
優勝したベネズエラのキャプテンで捕手であるペレスに好感を持ちました。
日本との対戦の際、落ちたマスクを打者から手渡されたたとき、ペレスがお辞儀しながらお礼を言っているシーンがありました。
なんだか、とっても人が良さそう。
スター選手が構えると、スタンドのお客さんがスマホを傾けているシーンをよく見ました。
ホームランを打つ瞬間を録画したい。
なんだか名所を撮影することに夢中になっている観光客みたいです。
先日、大江戸線に乗っていると、20代くらいの欧米人が男女3名で入ってきて私を挟むようにバラバラに座りました。
本から視線を上げ隣に目をやると、男性がスマホでYouTubeを見ています。
日本に関する動画というわけではなく、家のベッドに寝転びながら暇つぶしに見る類の内容だったように思います。
降りるまでの10分間、彼は見入っていました。
異国での体験なんて微塵もないなと考えてしまいました。
一年ほど前だったか、新宿から八王子へ向けて電車に乗っていると、10代の女の子が前に立ちました。
本から視線を上げると、赤い背景に白い十字のヘルプマークがカバンから垂れていました。
席を譲ったあと、吊り革にぶら下がりながら本を開くと、視線の先で女の子が居心地悪そうにしています。
気のせいかと思いながら本に目を向けますが、やはり視界の端の方で落ち着きのない動きがある。
内容が全く入ってこず、ちらっと何度か様子を伺っていると、窓の外に目をやりながら次の駅までどのくらいか気にしているようでした。
周りの人はスマホに入り込んでいるか寝ているかで、女の子と私だけ違う空間にいるような気がしました。
「大丈夫ですか?」と声を掛けると、何かを訴える目をしながら静かに「はい」と答えました。
次の駅までの10分間は、本を読んでいるふりをして、緊急停止ボタンの位置を確認し、ボタンを押したときの振る舞いを考えることでいっぱいでした。
電車でゲームに夢中の人の隣になるときは身構えます。
接触する肘から伝わる円を描くような振動で、ゲームの世界に引っ張られそうになるのです。
何も言えない私は、肘が当たらないよう体勢を変え、しずかに読書の世界に戻ろうと何度も試みるのです。
