『Numbers Don’t Lie: 世界のリアルは「数字」でつかめ!』(パーツラフ・シュミル著/NHK出版)
数字を使って物事を見ることの大切さが書かれています。
「物事は深く、同時に広く、見なければならない(中略)数字はかならず多角的な視点から見なければならない。情報に基づいて絶対的な価値を評価するには、相対化や比較化という視点が必要なのだ。」(p.332)
世界の人々、世界の国々、食、環境、エネルギー、移動、機械といった幅広いテーマ、71のトピックに関し、数字をベースに解説しています。
数字を明らかにし、比較することで、見える景色が変わってきます。
新型コロナの感染拡大の際、報道で出てくる数字で一喜一憂したのを思い出します。
例えば1日に1000人の新規感染者がいたとき、その「1000」という数だけで動揺していた時期があります。
当時は分母が何人かを考えることが足りていませんでした。
何人中の1000人なのか。
飛行機も良い例です。
飛行機に乗る際に緊張しますが、実際はどの乗り物よりも安全だといいますよね。
フライトの事故により死亡する確率を確認し、他の状況での死亡率と比較すれば安全だということがわかります。
本書では、ふつうに暮らしている中での1時間あたりの平均死亡率とフライトでの死亡率を比較しています。
「フライト中に命を落とす確率は、陸上でふつうに暮らしているときより1000分の5高くなるだけなのだ。喫煙による死亡リスクはフライト中の死亡リスクより100倍高い。」(p.281)
どんな数字を見るのか、何と比較するのかで、物事の捉え方が変わるところが面白いところです。
と同時に、「数字の見方」を養っていかないといけないということも感じました。