『プーチン(上):生誕から大統領就任まで』(フィリップ・ショート著/白水社)
ロシアのプーチン大統領がどういう人物なのか知りたくて本書を手にとりました。
著者のフィリップ・ショートさんは元BBC特派員の伝記作家で、8年にわたる調査取材をもとに書かれています。
上下巻と分かれています。
上巻は、プーチン氏の幼少期から大統領就任までが描かれています。
ロシアでは公表されている情報が必ずしも真実とは限らないという前提で、さまざまな角度から事柄の本質に迫っています。
本書を読んでいて、プーチン氏はクールで、緻密で、頭がキレ、タフで、胆力がある人物という印象を受けました。自分の求めているものを確実に得ていく。情の人ではないのでしょう。
2000年、プーチン氏47歳のときに大統領へ就任します。
同年、原子力潜水艦クルスクが演習中に事故により沈没します。このときの対応でプーチン大統領へ批判が高まりました。
乗組員の家族500人が集まる場で家族と向き合います。その際に、家族から猛烈な批判を受けます。会場から罵る声も。3時間近く、プーチン大統領は家族と向き合いました。
「ロシアNGOの代表のふりをして入り込んだ記者アンドレイ・コレスニコフは後に、プーチンが生きて会場を出られないのではと恐れていたという。」(p.426)
このエピソードを読んだとき、プーチン氏にもこういう時があったのだと思いました。今ではあまり想像できません。
下巻はその後プーチン氏がどう権力を使って国をリードしていくかが描かれます。