ここ数日の間で、「深さ」を考える機会が何度かありました。
あるイベントの打ち合わせで主催者の方が、
「深い部分が伝わるようにしたい。」
そう仰いました。
表面上で見えていることではなく、その裏にあるものを想像していく。そこをイベント参加者が共有できたらいい場ができる。
帯の製造販売の老舗である誉田屋源兵衛の十代目山口源兵衛さん。
HPにも掲載されている動画の中で、こんなことを仰っていました。
私の帯作りでは、霊、魂、そういう気配をどう表現するかというのが一番大事なことなんですね。その気配を表現するのに、どうしても箔というのが私には必要なんです。その見えない、奥行き、奥に何があるかというもんが表現できたら非常に満足なんです。
この言葉を聞いたとき、あまりの深さに衝撃を受けました。込み上げる感動があったというか。
学生時代、西洋の演技論に惹かれていたことがあります。
役作りのために役者はすごい量の準備をします。
演じる役の人間像、人生、価値観、あらゆるものを自分の中で構築していきます。台本を分析することも必要です。なぜその言葉なのか、どういう背景があるのか。時間の許す限り役を固めていくわけです。
でも、本番では、その準備してきたことを全て忘れて、「その場に生きる」ようにします。そうすると、自然と滲み出てくるものがあるのです。
表面は演技なのですが、その奥深さが表現できるんです。
一見するとさらっとしている。
でも、なんとも言えない「深さ」がある。
そういう生き方に惹かれます。