『図説 大聖堂物語』(新装版)(佐藤達生、木俣元一著/河出書房新社/2011年)

ゴシック建築といえば大聖堂。
大聖堂とは、司教が座る椅子である司教座が置かれている教会堂を指します。
大きくて荘厳な大聖堂は11世紀以降建てられるようになり、ゴシック大聖堂は12-13世紀で盛んになりました。
本書は写真と図で大聖堂の歴史・時代背景・構造・美術をわかりやすく解説しています。
当時は建築と美術は一体だったといいます。
「『芸術』という概念はなかったかもしれないが、この言葉を用いるならば、大聖堂は最高の芸術であった。」(p. 12)
木々をイメージさせる建物、ステンドグラス、バラ窓、彫像、光を用いた内部空間など、美のかたまりであるところに惹かれます。
ステンドグラスは外部からの光を使って表現されますが、当時は読み書きできない人が多かったので、聖書の内容を伝える役割もありました。
たとえばシャルトル大聖堂の窓全体には、「放蕩息子のたとえ話」が升目に一つ一つの場面として表現されています。
彫刻も魅力的なものが多い。
聖書の中の人物を模した彫像もあれば、雨水の排水口が動物や怪物になっているものもあり、柱の下には植物文様も見られる。
「中世では、石からつくられた彫刻でも、木からつくられた彫刻でも、彩色が施されていた」(p. 86)
今では色がなくなり灰色の彫刻というイメージになっていますが、これらが色彩豊かだったとすると、外観の華やかさ想像するだけでわくわくしてきます。
大聖堂は「キリスト教の建物」という漠然とした捉え方しかありませんでした。
本書を読んでいて「美術と一体になった建築物」をこの目で見たくなりました。
すぐにはヨーロッパへ行けないので、写真集のようなもので楽しんでいこうと思っています。
