新品のバスタオルがくさい。
シャワーを浴びて体を拭いていると、酸っぱい独特のニオイが漂ってくる。
どこかで一度嗅いだことのあるニオイだなと思い記憶をたどる。
あれは2年前だ。
ユヴァル・ノア・ハラリの『NEXUS』が発売されたとき、原書をAmazonで購入した。
1-2週間後、海外から段ボールに包まれた本が届いた。
郵便配達員から受け取った瞬間、今までかいだことのない強烈なニオイがした。
「うっ、なんだこれ」
この小包だ。
段ボールの素材が日本で見るものとは若干違って見える。
シールを剥がし中の本を取り出した。
耐えられず段ボールはすぐに捨てた。
換気しても部屋中に不快な空気がただよっている。
本を手に取るとニオイが染み付いていることがわかった。
「どこの国からだ?」
伝票を見ると「INDIA」の文字。
「そうか、インドで使われている段ボールはこんなニオイがするのか」
結局、ハラリの本を読み終わるまで、べっとり残るこのニオイと格闘した。
バスタオルにはあのニオイがする。
まさか。
裏地に付いたタグを見た。
「MADE IN INDIA」
大手日用雑貨チェーンで購入した。
中国・東南アジアだけでなくインドでの生産もしているのか、とグローバル流通を思い描く。
インドの運搬用の段ボールからニオイが染み付いたのだろう。
念のため一緒に購入したフェイスタオルに顔をうずめてみる。
あのニオイはしない。
タグには「MADE IN CHINA」と書かれていた。
